ほんのひとこと

元・本屋でバイトする学生による
日々の読書記録です。
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# 圏外へ
評価:
吉田 篤弘
小学館

新しい小説に取り掛かった私。
私が小説に没頭しすぎていることを不安がる娘の音。
自称学者で将棋相手である円田君。
南を夢見るドクター。
雲呑を食べに行ったり小説と格闘しているうちに
いつしか現実と小説の境目があやふやになっていく。
世界中のカタリテが集まる<エッジ>で私は
物語から去っていったものたちと邂逅する。
装丁:吉田浩美・吉田篤弘[クラフト・エヴィング商會]
カバー写真:Getty Images

語るものと語られるものとの関係を表した実験的な小説。
ストーリーを説明するのが難しいのだけれど
いしいしんじのような雰囲気があります。ソボフルのあたりとか。
引用したい言葉がたくさんあったので以下。

「およそ物語というものは何かがズレるところから生まれます。」
「つまり、スラスラと書けないものこそ書くべきなんです。僕はそう思います。スラスラ書けるようなものになんか僕は少なくとも興味を持てない。もちろんネチネチ書くのも駄目です。そういう意味ではコレはスラスラとネチネチの二者択一ではなく、もうひとつの道と言えばいいんでしょうか」
「アナタがそんなふうにグズグズしているうちに、アナタが書くよりも早く物語のほうが、これでよろしかったでしょうかと飛んで行きます」
「この部屋にとっては、こういったものが全部ノイズなんだよ。土星の環だ。つまり『詩』だよ。(中略)で、僕が気になるのは、デジタルで作られたものは、どうもそういったものを拾い上げない傾向にあるということ。」
「なにしろ、カタリテなんぞこの世にはゴマンといるのだから、うっかりしていると、どこのドナタか見知らぬ語り手にコチラが語られてしまうことになる。」
「「圏外」というその二文字の警告が、私が求めていたココでありながらココではないところを示していた。おそらく、私はこの「圏外」にいる限り、私にとっての安全圏にいると考えていい。世間にも世俗にも世界にも追われることなく、しかし、それでいながら、しっかりこの世の地図上の現実に立っている。」
「少しでも波打ち際を擁する以上、その国の輪郭線は著しく正確さを欠く。そこにはそもそもホンライというものがない。でなければ、正確さを欠いた状態がホンライの姿になる。」
「人は「過去」と「未来」の双方から操られているわけだ。板挟みというヤツ。」
「僕はもうここまで書いてしまった。書いて書いて語りつづけた者は、終わりであるとか最後といったものに辿り着くまで前進を試みなくてはならない。たとえ、その途上において、自分に最もふさわしい居場所を見つけたとしても。」

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