ほんのひとこと

元・本屋でバイトする学生による
日々の読書記録です。
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# スロウハイツの神様
売出し中の脚本家である赤羽環は
ファンのおじいさんから譲り受けたというスロウハイツに
親しいクリエイターたちを集めて共同生活を始めた。
児童漫画家を目指す狩野壮太、
映画監督を目指す長野正義と彼女で画家を目指す森永すみれ、
敏腕編集者の黒木智志と彼が手掛ける人気小説家チヨダ・コーキ、
漫画家を目指すが環をライバル視してハイツを出てしまった円屋伸一、
そして彼女の代わりに入居してきたコーキのファンの加々美莉々亜。
チヨダ・コーキは彼の小説の模倣犯罪が起こったことから
3年余り世間に姿を見せなかったが、
「コーキの天使ちゃん」と呼ばれる彼を擁護する少女の投書のおかげで
世論が変わり人気作家の地位に返り咲いた過去をもつ。
しかし最近彼の模倣としか思えない鼓動チカラという作家が現れ、
環はそのことにひどく憤りを感じていた。
彼らの恋愛模様も大きく変化する。
ダメ男ばかりと付き合ってきた環は珍しく拝島司といういい男を捕まえ、
逆にすみれはバイト先のDV男に惹かれてしまいハイツを出て行った。
そしてハイツに届く人気漫画『ダークウェル』の原作原稿。
彼らの関係はどうなってしまうのか。
カバーデザイン:坂野公一(welle design) イラスト:佐伯佳美
ブックデザイン:熊谷博人+釜津典之

再読です。『光待つ場所へ』を読んでもう一度読みたくなって。
トキワ荘のようなクリエイターの卵たちの住むスロウハイツで起こる
嫉妬や疑念、信頼と慣れあいの群像劇です。
才能を持つ人たちの屈折した感じが憧れでもあり恐ろしくもあり。

「コーキの天使ちゃん」はあの子だと思っていたけれど
コーキの過去の行動に思わず涙しそうになりました。
ストーカーと言ってしまえばそれまでですが、この場合は純愛として読みたい。
『レディ・マディ』『ダークウェル』どちらも読んでみたいです。
『V.T.R.』みたいにノベライズしてくれないかなー。
| comments(0) | trackbacks(0) | 00:41 | category: タ行(辻村深月) |
# 光待つ場所へ
内藤絵画教室に通い絵には自信のあった清水あやめは
『造形表現』の講義の課題で田辺の撮った映像に打ちのめされた。
絵画教室で出会った翔子をはじめとする他の誰にも
そんなことを感じたことはなかったのに。
しかも彼は友達も多く外見もよく普通の幸せを謳歌しているように見える。
普通を捨てて絵に向き合っている私とは違って。
「しあわせのこみち」
秋葉原のさえないアイドル事務所で
チハラトーコは自分だけはガチなオタクでガチなアイドルだと思っている。
それなのに最近の仕事は控え室もなくVシネマの話まで来ている。
ステージママだった母親を悲しませないように吐きはじめた嘘だけが
エンターテインメントとして私に残された。
「チハラトーコの物語」
クラス対抗の合唱コンクールの指揮を担当する天木は
伴奏に立候補した倉田の上達の遅さにやきもきして秀人と椿にぼやくと、
クラスに実は天才ピアノ少年の松永がいると教えられた。
難易度の高い自由曲の伴奏は彼に頼むことに決めるが
それによって倉田のプライドは傷つく。
「樹氷の街」
装丁:名久井直子 装画:佐伯佳美

いろんな辻村作品のスピンアウト中編集です。
「しあわせのこみち」には『冷たい校舎の時は止まる』の鷹野と清水が、
「チハラトーコの物語」には『スロウハイツの神様』の赤羽環と加々美莉々亜が、
「樹氷の樹」には『名前探しの放課後』の天木、秀人、椿が出てきます。
また読み返したくなってきたなあ。

自信と自信過剰の間くらいにいる女の子たちのお話。
自分が普通とは違うと信じてそのことに酔い、
その一方で自分はイタイのかもしれないと思う視点は持ち合わせている。
それなりに根拠となるものはあるけれど上には上がいて、もちろん下には下がいて。
見下して優越感を抱きながら生きるのか
上を目指してあがきながら生きるのか。
少なからず自分にも覚えがある感情なのでずしっときます。
| comments(0) | trackbacks(0) | 22:32 | category: タ行(辻村深月) |
# ふちなしのかがみ
評価:
辻村 深月
角川書店(角川グループパブリッシング)

夏休みの日直で学校に行くと実習に来ていた後輩が訪ねてきて
渓谷から身を投げた女児についての話になる「踊り場の花子」
女児が突然ブランコから投げ出されたのは
キューピッド様の呪いだと同級生が語る「ブランコをこぐ足」
認知症の祖母と足が不自由な祖父の家に片付けに行くたびに
押入れや廊下で死体が見つかる「おとうさん、したいがあるよ」
鏡に映った自分の未来では憧れの彼と自分が結婚しているのに
どうして現実はこうなのか悩む「ふちなしのかがみ」
いじめられたくない一心でパーフェクトな架空の友達をでっち上げ
後にひけなくなってしまう「八月の天変地異」
カバーイラスト:山城えりか カバーデザイン:高柳雅人

怪談を題材にした不思議なことが起こる短編集。
「踊り場の花子」は主人公がだんだんと追い詰められていくのが怖い。
「ブランコをこぐ足」は小学生のしたたかさを感じる。ラストがちょっと謎。
「おとうさん、したいがあるよ」は何が現実なのかわからなくなってしまう。

「ふちなしのかがみ」は叙述ミステリの手法と女の狂気が発揮されていて
この作品の中で一番テクニカルな話だった。
憧れの高校生サックス奏者との子供を鏡の中に見出して
どんどんそちらの未来にのめりこんでいく姿は
そのまま『世にも奇妙な物語』に出来そうなくらい映像が浮かんでくる。

唯一ハートウォーミングなのが「八月の天変地異」。
自分が空想していた架空の友達が本当に目の前に現れたら、なんて
子供にとってとても魅力的だけれどそれを喜ぶだけじゃなくて
いつか消えてしまうんじゃないだろうか、とか
自分が会っていないときはどのような生活をしているのだろうか、とか
いろいろ考えるところに妙なリアリティを感じます。
| comments(0) | trackbacks(0) | 17:25 | category: タ行(辻村深月) |
# V.T.R
千人だけに許された政府公認のマーダーライセンスを持つ俺に
同じくマーダーで3年前に別れたアールから突然電話がかってきた。
アタシの噂を信じないでと告げられたのが気になり
久しぶりに街へ降りてアールの情報収集を始める。
どうもアールは最強の殺し屋トランス=ハイの傘下のファミリーを
殺して回っていたらしい。
アールにぞっこんで五流以下の情報屋テッド、
トランス=ハイに視力を奪われたカフェの店主で元絵描きのS、
トランス=ハイに家族を殺された銃技師のJ、
箱庭療法と合法麻薬の栽培を行う引きこもりのA、
アールにプロポーズを繰り返していたドクターY、
ロボットの墓場で行き続ける旧型ペットロボットのぺロッチ、
彼らのもとを訪ねてアールの足取りを追う。
カバー・扉・目次デザイン:坂野公一(welle design)
ブックデザイン:熊谷博人+釜津典之 イラスト:倉花千夏

『スロウハイツの神様』チヨダ・コーキのデビュー作という設定。
千人にだけ殺人が合法化された社会で、
現在はヒモ生活をするマーダーのティーが
別れた恋人であるアールの行方を探し歩きます。

まだまだ物語が始まったばかり、というところで終わってしまったので
すごくもやもや感が残っている。
アールの行動の目的はなんだったのか、
Jはどんな気持ちで銃を作り続けているのか、
ティーはこれからどう動くのか。
キャラクターを紹介するだけの作品という印象でした。
続編があることを期待!
| comments(0) | trackbacks(0) | 21:34 | category: タ行(辻村深月) |
# 名前探しの放課後

ジャニーズ顔のいつかは突然3ヶ月前にタイムスリップしてしまう。
いつかは12月24日に同じ学年の誰かが自殺することを知っていた。
まずオカルト好きで唯一の同じ中学出身のあすなに相談し、
タイムスリップした瞬間に一緒にいた陸上部の秀人と
文武両道の天木、そして秀人の彼女の椿に協力を依頼した。
本当にタイムスリップしたのかどうかは別として
知っていて自殺を食い止められなかったら寝覚めが悪い。
まずは自殺しそうな人間を探していると
陸上部のエースである友晴が
同じクラスの河野基をいじめているらしいという情報が入った。
彼がいじめられるきっかけとなった水泳のフォームを直して
河野に自信をつけさせ、友達になろうという単純な作戦が始まった。
水泳の苦手なあすなも一緒にこの練習に参加することとなり
2人とも見事25メートルを泳ぎきる。
さらにクリスマスの当日まで河野を見届けるために
あすなの祖父が営む『グリル・さか咲』でクリスマスパーティーを行うことにした。
しかし河野が泳げればいじめを辞めると言っていたはずの友晴が
河野と2人でゲームセンターから出るところをあすなは目撃する。
いじめられっぱなしの河野にいらついたいつかは
河野が自殺する未来のことを本人に告げてしまった。
装丁:坂野公一(welle design) 装画:丹地陽子

青春小説です。同級生の自殺を救うべく結束する仲間たち、
というとかなりくさい設定ですが、それだけで終わらないのが辻村流。
自殺した人間にたどり着くのがストレートすぎると思っていたら
やっぱりそう来たか、という感じです。
でも本文中で明言されているから疑いづらいです。そこが巧いんだなぁ。
椿ちゃんの発言がどれも聡明で感心します。いびつな正方形。

『ぼくのメジャースプーン』は読んでおいた方がいいです。
読んだはずなんだけど結構前だから再読しとくべきだった。

| comments(1) | trackbacks(1) | 14:33 | category: タ行(辻村深月) |
# ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ

幼なじみのチエミの母が刺殺され、チエミが失踪した。
あんなにも仲の良かった母娘だったのに。
東京に出てフリーライターをするみずほは
地元の山梨でチエミの恩師や合コン友達、会社の同僚たちに話を聞くが
チエミの行方について手がかりは得られない。
代わりに聞かされたのは「負け犬」でいることの愚痴や
結婚式に呼ばなかったことでの確執、
あまりに母にべったりすぎるチエミへの苛立ちだった。
ようやく最重要人物であるチエミの元恋人である大地と連絡が取れ、
みずほは全く報道されていないある状況に思い当る。
チエミの目的地はあの場所かもしれない。
装画:山口留美恵 装丁:池田進吾(67)

母娘のどこまでもついてまわる関係を描いた作品。
母親に対して感じる反発と絶対に味方になってくれるという安心感。
何かのインタビューで辻村さんは
実際に少し田舎に行けばこういう母娘関係は当たり前で
「負け犬」がキャリアウーマンのプライドに基づいた自虐である東京は
むしろ日本では少数派であると語っていた。チエミは極端な例だとしても。
ティーンを主人公にしたライトな書き手の印象だったから
こういう深いものもいける人だったのだなぁと少しびっくりです。

| comments(1) | trackbacks(1) | 14:14 | category: タ行(辻村深月) |
# 太陽の坐る場所

美人で女優を目指していたが仕事の傍らアマチュア劇団に所属する聡美。
映画の配給会社に勤めて修との関係をプライドとする地味な紗江子。
アパレルの臨時社員として見栄を張ることに全てをかける由希。
銀行員の境遇に不満を持ち同窓会を開き続ける島津。
地元局アナとして地域では顔が利くようになった高間。
彼らは同窓会に女優となったクラスメイトのキョウコを呼ぼうと苦心する。
彼女が来ないのは当時つきあっていた清瀬を巡る
いろいろなことが原因だと勘繰って。
装丁:大久保明子 装画:水口理恵子

どうもキョウコのイメージが合わないなと思っていたらそう来ましたか。
やっぱり一筋縄ではいかないけれどいつもよりは仕掛けが浅いかも。
それでも高校という狭い世界での絶対性が浮き彫りにされています。
だいたいどの人物もそういう面もあるならしょうがないという気にさせられますが
由希と修は徹底的に悪役です。
貴恵の友情にはぐっと来ました。一番の見せ場かも。

| comments(0) | trackbacks(0) | 22:32 | category: タ行(辻村深月) |
# ロードムービー
しっかりもので目立つ存在のトシは入学当初から
児童会長になることを目標にしていた。
しかしその目標が5年生になってから崩れかけていた。
きっかけはいじめられっこのワタルと仲良くなってから。
そのことでクラスメイトに目を付けられて
トシがいじめに合うようになった。
さらにワタルの家の工場が潰れてワタルが転校することになり
トシは家出をして自分の両親に身代金を要求することにした。
表題作ほか2編。
装丁:名久井直子 装画:猫野ぺすか

複雑な子ども心を上手く描いていると思う。
だだをこねているだけだと気づきながらも感情的にならずにいられない。
いちいちプロローグとエピローグというくくりを作らなくてもいいと思う。

「ロードムービー」が一番意外性があった。
特に隠すこともない設定だとも思うけれど。
「道の先」は謎のままの部分が多すぎて未完成な感じ。
「雪の降る道」は子どもの身勝手さがよく出ている。
| comments(0) | trackbacks(0) | 12:37 | category: タ行(辻村深月) |
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