ほんのひとこと

元・本屋でバイトする学生による
日々の読書記録です。
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# 世界クッキー
料理がゴミに変わる境目を考えた延長で
社会などの「入れ物」に応じてある境目を越えて
その姿勢や考え方の本質が変化するのなら、
いつでも信用できる主体性などないのではないかと考える「境目が気になって」
受け手も作り手もそのときの状況によって最高の作品が異なる
「これはムード、しかしながら邂逅」
作家は死んでも物語は残り続ける「作家は物語のためにいる」
通過点でしかないホテルに物哀しさを感じる「ホテルの内部」
会うことには文章では伝わらない何かがある「会いたいも、ただの言葉かしら」
自分の人生を左右する出来事は予想外のところからやってくる
「ぐうぜん、うたがう、読書のススメ」
装画:東ちなつ コサージュ作成:sayoco
装丁:大久保明子

「からだのひみつ」「ことばのふしぎ」「ありがとうございました」
「きせつもめぐる」「たび、けものたち」「ほんよみあれこれ」
「まいにちいきてる」「ときがみえます」の8章からなるエッセイ集。
日常的なことを疑問に思い哲学的思考に飛んで行ってしまう文章からは
感性の鋭さが感じられます。
デパートの屋上にあるロボコンの遊具で遊んだことで
自分の精神が身体から出ることが不可能であることを思い知ったり、
旅行先の写真を見ながらパラレルな世界について考えたり。
はっとさせられます。
| comments(0) | trackbacks(0) | 21:50 | category: カ行(その他) |
# 夢見る黄金地球儀
実家の平沼鉄工所で営業をする平介は
悪友のガラスのジョーから黄金地球儀を盗み出す計画を持ちかけられた。
そもそもこの地球儀はふるさと創生基金の一億円を
そのまま黄金に変えて地球儀を作ったもので
現在は桜宮水族館に展示してある。
全く乗り気でなかった平介だったが
市役所の課長から黄金地球儀の警備を持ちかけられ
計画が現実味を帯びてきたのだった。
雪見いちご大福作戦を思いついた平介は
保険をかけるためにジャズバー”ブラックドア”の
バーテンダーの殿村アイとサックスプレイヤーの牧村、
ボーカルの小夜に協力を頼んだ。
しかし決行を予定した日にテレビの取材が入ることになってしまう。
カバーイラスト:佐久間真人 ブックデザイン:WONDER WORKZ。

”ジハード・ダイハード”を掲げて黄金地球儀を盗み出すために
平介とガラスのジョーが奔走するどたばたエンターテインメント小説。
面白い機械がたくさん出てくるのですが
いまいちイメージがしづらかったです。
あと突然いなくなっちゃったアイちゃんの消息が気になります。
| comments(0) | trackbacks(0) | 23:26 | category: カ行(その他) |
# 黄金の猿
評価:
鹿島田 真希
文藝春秋

教会職員の共同住宅に住んでいた私と夫は
虚言癖のある神学生にうんざりする「もう出ていこう」
フランス文学を学ぶわたしは精神科医のあなたと
図書館で出会った少女葉菜を近づけようとする「ブルーノート」
罰と命令を与えないわたしを諦めたあの人は
巻き髪の冷感症の女を欲する「ハネムーン」
僕と妻は真珠の女とその取り巻きを眺めながら
次第に妻が無味乾燥の女になっていくのを恐れる「緑色のホテル」
夜に歌いながら徘徊する妹とそれをなだめる兄の存在を見て
去年ホテルにいた黒いドレスの女の病の気配を感じる「二人の庭園」
装画:HANS BELLMER "Ohne Titel" 1938
装丁:関口聖司

病的な愛の気持ちを描いた短編集。
後の3編は「黄金の猿」三部作というそうです。
理想の女とはなにか、そしてそれを求める男と
与えようとする女との間にだんだんとずれが生じてくる怖さ。
歪んでいるからこその美しさがあります。
| comments(0) | trackbacks(0) | 15:38 | category: カ行(その他) |
# 夏の入り口、模様の出口
名前に対する期待値を低く見積もった方がいいのではないか。
手紙を読み返すとき、人は何と出会っているのか。
人を殺せるような単純思考の持ち主の動機は聞かなくてもよい。
金縛りから一転明晰夢を楽しめるようになった。
自分が死んだ後のパソコンの中身がどうなるのか恐ろしい。
近視は不便だけどふたつの状態を楽しみたい。
のりピーを見ていると覚せい剤が怖いものだとは思えない。
甥から自分は思い出のために生きているわけじゃないと諭される。
歌手時代に苦労したせいかサイン会の列がものすごく嬉しい。
自発的に缶詰生活を送ろうとしたら女1人が連泊できる宿がない。
ポッキーのチョコがない部分を手で触ったからと捨てていた友人。
人生の主導権はいつだって自分にあるのだ。
確定申告に行ったらそっとしておいてください。
冷凍庫に入れられるかの基準は顔がついているか否か。
装画:川口伊代 装丁:新潮社装丁室

週刊新潮連載の「オモロマンティック・ボム」が単行本化。
もちろん内容もおもしろいのですが文章に流れがあって好きです。
なんとなく本谷有希子さんと似たようなイメージを持っていたのですが
(著名になった時期が近いからかな、あと女性純文学というくくり)
川上さんの方が素直というかあっさりしているように思いました。
明晰夢が見られるようになりたいなー
| comments(0) | trackbacks(0) | 01:38 | category: カ行(その他) |
# 羆撃ち
評価:
久保 俊治
小学館

小さな頃から父に連れられて猟に出ていた私は
成人を迎えてすぐに銃のライセンスを取り
大学卒業後は故郷の北海道でプロの猟師になった。
雪の中にテントを構えビバークを繰り返しながら
何日もかけて羆やシカたちを追う。
猟師になって2年後に猟の方法を掴んだ私は
猟犬を育てるという夢を実現するため犬探しをし
生れたばかりの雌の北海道犬、フチと出会った。
賢く忍耐強いフチはすぐに追い鳴き、止め鳴きを覚え
頼もしいパートナーとして成長する。
次にもうひとつの夢、ハンティングの本場アメリカで
腕試しをするためにプロハンター養成学校への留学を決意する。
フチを置いていかなければならなかったが
5週間に及ぶ集中講義が行われて見事17/19科目に
エクセレント印をもらう。
その後インストラクターやガイドの仕事を得てアメリカに滞在するが
ビザの期限が切れるため日本に戻り再びフチと共に猟に出る。
夢はさらに膨らみ、牧場経営もしたいしフチの子供も欲しい。
しかしフチの鼻に悪性のポリープが見つかってしまう。
装画:松尾たいこ 装丁:高柳雅人

日本唯一の羆ハンターである著者と猟犬フチの物語。
最初はどうして羆を殺して生活しようと思ったのかわかりませんでした。
フィクションでよく出てくるような
獲物を的としか思っていないようなハンターのイメージが強かったからか
あまりいい印象を持たずに読み始めました。のですが。
ありきたりな表現ですが命と向き合う真剣さに胸を打たれます。

「ナイフを取り出しシカの腹を裂いた。その腹腔に凍えてかじかんだ両手をもぐりこませて温める。シカの最後のぬくもりが、痛いほどの熱さで両手に染み込んでくる。私はそのまましばしの間じっとしていた。最後の温もり、生命の温もりの全部を両手にもらった。」

こんな凄い文章経験してなければ絶対に書けません。
そして中盤からはフチの健気さがとても愛しい。
ペットとしての犬には可愛さしか求めていませんが
猟犬となると賢さや従順さ、忍耐強さなどが必要となり相性も大切です。

「アイヌ語で「火の女神」という意味を持つ「アペ・フチ・カムイ」から取って「フチ」と名づけた。この名前なら冬の凍えた唇でも呟ける。」

この文で泣きました。
苦境を共に乗り越えるためのパートナーとしてフチを選んだのだということが
ひしひしと伝わってきます。

「大草原の少女みゆきちゃん」という家族ドキュメンタリーもあるそうなので
見てみたいのですが86年度文化庁芸術作品賞受賞って
今でも見る機会あるのかしら。
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:28 | category: カ行(その他) |
# マルコの夢
就職先が決まらない僕を姉がパリに呼んだ。
三ツ星レストランでキノコ担当となった僕は
次の担当者が現れるまでのつなぎだとばかり思っていたのだが
2ヶ月経っても働き続けておりそろそろ潮時だと感じていた。
辞意を伝えようとレストランに行くと
オーナーのエメ氏から看板料理に必要なキノコ、
マルコを取りに日本まで行くように頼まれる。
なんでも非常に貴重なキノコで、
フランスでは姉の輸入事務所でしか扱っていないそうだ。
何の手がかりもないまま日本へ戻り
上京ついでに父の元を訪ねるとアパートに引きこもりキノコを育てていた。
装画:金羅英 装丁:木村典子

なんとも不思議な話です。
就職活動が上手くいかない男の子がキノコの采配を受ける。
パリでキノコを売る姉が彼を誘い、日本では就職が決まらず、
オーナーからキノコ係を任命され、日本にキノコを取りに戻る。
すべてがキノコの思うがままです。
こういう超自然的というか人智を超えた意思みたいなのは
もしかしたらあるのかもしれないけれど
それがキノコによるものだとは考えたことなかった。
なんと表現すればいいのか難しい小説です。
| comments(2) | trackbacks(1) | 08:27 | category: カ行(その他) |
# コトリトマラズ
私の勤めるインテリアデザイン会社の専務が倒れた。
ちいさな会社なので社長の奥さんである。
そして私はその社長である能見さんといわゆる不倫をしている。
しかし奥さんが倒れてから会社は忙しくなり
能見さんも奥さんの面倒を見るために会えなくなってしまった。
能見さんに負担をかけたくないと思いながらも
やっぱり会って2人だけの時間を持ちたい。
けれども奥さんが倒れたことの責任の一端は私にもあるのだ。
2人が会いたくて会っていて幸せならいいと思っていたのに
どうして周りに影響が出てしまったのだろう。
装画:村松葉子 装丁:岡邦彦

社長と不倫している主人公が奥さんの病気をきっかけに
今後の関係をひたすら考え続ける。
誰にも迷惑をかけず2人で会えるときだけ楽しみたいと思っていたのに
閉じていると信じていた関係は周囲も変えてしまった。
このまま報われない関係をずるずると続けていくのか。

社長ダメンズでしょ!甘えているなあとしか思えなかった。
華もたいがい甘えているけれどこれだけ自問自答を繰り返しているから
ここに共感してしまう女性は多そうだ。特に道ならぬ恋をしている方々。
関係は2人で築き上げるのではなくて
周りのみんなで育んでいくものだと言うカヨの台詞が好き。
| comments(0) | trackbacks(0) | 20:59 | category: カ行(その他) |
# 親不孝通りラプソディー
高校生の"ねぎ"ことキュータは美人局にひっかかり
同じく金を必要としていた組員のキョージは
キュータの提案で信用金庫を襲い一億二千万を手に入れてしまった。
しかもこの金は裏金だったらしく事件にならないまま
こっそりと逃げ続ける2人は
かけおちに踏み切ったばかりの"かも"ことテッキに相談を持ちかける。
テッキは一年前に同様の現金強奪事件があったことに目を付け
その容疑者であり元警察官の麻生を探し出した。
これでコマは揃った。あとは金がどこにもないことを
カップとボールの手品のように披露するだけだ。
装丁:丸尾靖子 装画:クサナギシンペイ

またしてもシリーズ途中だったようで。
高校生と美人局、かけおち、暴力団組員、現金強奪という
不釣合い具合にどうも最後までなじめなかった。
高校生である必要はあったのだろうか。
金を奪おうとする暴力団員や工作員から逃げながら
最終的には脱北まで手伝っちゃうスケールの大きさ。
暴力サスペンスの要素を詰め込みきった感じです。
装丁の雰囲気とは全然違う物語。
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:41 | category: カ行(その他) |
# 虚栄の肖像
火災に遭った父の肖像画の修復を引き受け
報酬として古備前の甕を前払いで受け取ったが
どちらからも怪しい匂いがする「虚栄の肖像」
藤田嗣治の作品の修復に向かった先で
教授だった彼女の父により引き裂かれた学生時代の恋人と再会し
藤田作品に隠された取引を知る「葡萄と乳房」
無名の作者による縮緬の緊縛画を修復する過程で
絵師の正体として意外な人物が浮かぶ「秘画師遺聞」
花師と絵画修復師を生業とする佐月恭壱の推理小説。
装丁:大久保明子 装画:中山尚子

追悼。
読んだことがなかったので適当な厚さのこの本を手に取りましたが
シリーズものの後の方らしくキャラクタをつかむのに
時間を取ってしまいました。
絵画修復師の主人公が修復の仕事を通して
政治家の駆け引きや贋作商売を見破っていきます。
普段関わることのない絵画修復の過程も細かく説明されていて
自分の知らない世界を知る面白さも。
しかし前作も読まないとやっぱり消化不良だな。
| comments(0) | trackbacks(0) | 16:11 | category: カ行(その他) |
# オテル モル
百通以上の履歴書を送って久しぶりに面接にこぎつけたのが
オテル・ド・モル・ドルモン・ビアンだった。
募集条件は夜に強く、孤独癖があり、いらいらしないこと。
ビルとビルの隙間にあり客室が地下しかないこのオテルは
一見さんお断りの眠るためだけに用意された空間だった。
覚せい剤の療養中の双子の妹の娘と元彼だった旦那との暮らしに
いい加減区切りをつけたかった私にはもってこいの職場だ。
客室係の外山さんに指導を受けながら
眠り顔の私は次々と眠りに来るための客たちを迎え入れる。
装画:小野田維 よみがえる箱舟伝説
装丁:木村典子

全てが良質の眠りのためだけに誂えられた空間、オテル・モル。
こういう少し歪な設定大好きです。
沙衣の影響力と自分にはない光にひかれる希里の関係が切ない。
何事も諦めているような希里が煩悶する姿も見たかったです。
| comments(2) | trackbacks(1) | 13:11 | category: カ行(その他) |
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