ほんのひとこと

元・本屋でバイトする学生による
日々の読書記録です。
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# 半分の月がのぼる空
急性肝炎で入院していた僕は里香に出会ってしまったんだ。
心臓の難しい病気を抱えていてひどくわがままな美少女、里香。
元ヤンの美人看護婦・亜希子さんや
感じは悪いが凄腕の里香の担当医・夏目の目をかいくぐって
僕は出来る限り里香の希望を叶えた。
図書館でピーター・ラビットの本を借りてきたり
司のバイクを借りて砲台山まで乗せて行ったり
みゆきの制服を借りて高校に連れて行ったり
里香の写真をたくさんたくさん撮ったり。
僕は僕なりにみゆきと一生一緒にいたいと思った。
彼女がいつ死んでしまうかなんてわからないけれど
最後までそばにいたいんだ。
夫に先立たれて娘も失おうとしている里香のお母さんからすれば
僕のことは気に入らないのはわかっている。
それでも面会謝絶になったって、病室に監禁されたって、僕は里香に会いに行く。
装丁・デザイン:カマベヨシヒコ

不治の病を抱えた美少女と普通の高校生の青春ラブストーリー。
上下巻とかなりのボリュームですがとても読みやすい。
決して目新しい設定ではないのですが、
裕一が里香を大切に思う気持ちの歯がゆさと
夏目が小夜子を思っていた切なさが丁寧に綴られていて
ただ単に感動させるためだけに病が使われたのではないのだとわかります。

彼女を好きだと思うけれども
彼女の病気は自分の将来の足手まといになるかもしれない。
一時的な気持ちならば一生をかけるなんてことは言わない方がいい。
それでも今の自分の気持ちは彼女と一緒にいることを望んでいる。
周りから見たらガキの考えかもしれないけれど、
そのときの自分の精一杯を貫く、そして綺麗事だけでは終わらせない所がいい。

元はラノベで大幅に加筆修正したのがこの本だそうです。
元本と一緒に『銀河鉄道の夜』と『チボー家の人々』も一緒に読みたい。
| comments(0) | trackbacks(0) | 00:31 | category: ハ行(橋本紡) |
# 空色ヒッチハイカー
頭脳明晰、容姿端麗、スポーツ万能、完全無欠のお兄ちゃんがいなくなり
目指していたものがなくなってしまった僕は
高3の夏休みという受験生にとって大切な時期に
お兄ちゃんの車でヒッチハイクを拾いながら九州へ向かう旅に出た。
最初に拾った杏子ちゃんはわがままだけどとても魅力的な女の子。
僕の目的地まで一緒に来るという彼女と共に
戦争経験のあるお爺ちゃん、車がエンストしてしまったカップル、
かわいい女の子2人組、子ども扱いされたことに怒った家出少女、
どもり性のバックパッカーなどたくさんの人たちを拾う。
そして道すがら高校受験のときに知り合った唯一の友達のことや
山道でお兄ちゃんと2人で迷子になったこと、
お兄ちゃんと一緒に夢中になった映画『ファンダンゴ』のことを思い出す。
カバー装画:フジモト・ヒデト デザイン:新潮社装丁室

川崎から唐津まで、ヒッチハイカーを拾いながらのロードノベルです。
憧れ続けていたお兄ちゃんがいなくなってしまい
目標を失った大学受験生が無免許でキャデラックを乗り回す青春小説です。
と書くと『レボリューションNo.3』みたいな子のようですが
東大を目指す真面目で普通の高校生が主人公。

てっきり主人公がヒッチハイクしていく話なのかと思っていたら拾う側だったのね。
せっかくだからもっと個性的で
凄いのはお兄ちゃんだけじゃなかったのか!
と主人公が思うような人がばんばん出てきたらよかったのに。
杏子ちゃんと思い出だけでも書けてしまう気がします。
| comments(0) | trackbacks(0) | 16:46 | category: ハ行(橋本紡) |
# 彩乃ちゃんのお告げ
付き合って三年になる忙しい恋人を愛しく思いながらも
このまま結婚していいのか悩む智佳子の「夜散歩」
夏期講習を放り出して夏休みのボランティア課題で始めた
里山再生の階段堀に熱中する徹平の「石階段」
東京から隣の県に引っ越してきて両親は近所付き合いでぎすぎすし
自分も転校先や親の言うことになじめずにいる佳奈の「夏花火」
新興宗教の教祖の孫として崇められる5年生の彩乃が
ひと夏の間いろいろな人の元に預けられて幸せをわけていく。
装画:クサナギシンペイ 装丁:高柳雅人

今付き合っている恋人と結婚すべきか、
地元で就職か東京へ進学するか、
自分の気になっている子が友達とつきあっているらしい、
両親の言うことを素直に聞けなくなってきた、
クラスの可愛い女の子が羨ましい、
誰もが抱くような悩みが彩乃ちゃんのおかげで少し軽くなる。

中でも「夏花火」が一番良かったです。
反抗期のきざしのもやもやや
周りの友達と自分を比較して憂鬱になる気持ちは身に覚えがあるはず。
ただ女の子が最初にするお化粧はファンデーションではないと思う。
まずは口紅とかアイシャドウとか色がつくものでしょう!

夏のお話なので季節的にもうちょっとしてから読んで欲しい。
| comments(2) | trackbacks(1) | 10:59 | category: ハ行(橋本紡) |
# もうすぐ

由佳子はネット新聞で産婦人科医が起訴された事件について
書くために『特集―産む―』の連載を始めた。
自然流産してしまった「誕生石」、
初産の限界35歳を超えてしまった「タイムリミット」
出産の予約をしなかったため産む場所がない「お産難民」
結婚したのに夫が避妊を続ける「おへその奥の、下辺り」
黒田ミカコの元で自然妊娠に励む「停泊地」「漂白地」
取材を進めるうちに由佳子は出産現場の現状を知り
30を超えた自分には全く出産の覚悟がないことに気づく。
そんな中知り合いの産婦人科医を紹介してくれた美咲から
助けを求める電話がかかってきた。
写真:Monalyn Gracia/Fancy/amanaimages
装丁:新潮社装丁室

橋本紡らしくない題材で驚きました。
授かるのも大変、産むのも大変、厳しい出産の現場を
リアルに、それでも希望を持って訴えかけてきます。
結婚後2、3年は子どもを持たずに2人で暮らしたいという
「おへその奥の、下辺り」の直樹の考えは、
大それた意見ではないはずなのに
晩婚化が進む現在難しい話になってしまっているのかもしれない。

| comments(0) | trackbacks(0) | 12:04 | category: ハ行(橋本紡) |
# ひかりをすくう

わたしと哲ちゃんは2人で無職になり少し田舎へ引っ越した。
デザインの仕事をしていたわたしは頑張りすぎがたたって
ストレスで病気になってしまったのだ。
当面の間は働いていたときに貯めたお金と
近所の登校拒否の小澤さんの英語の勉強を見て
小銭を稼いで暮らしていこう。
たとえこの生き方がずるくても。
ブックデザイン:鈴木成一デザイン室

西加奈子の『きいろいゾウ』と似ていると思う。
少し田舎に住む若い夫婦に引きこもりの子ども、そして動物。
言葉で簡単にくくると細かい違いを見落としてしまう、ということが
しきりに語られている。
それでも言葉の便利さを私たちは手放すことが出来ない。

| comments(2) | trackbacks(1) | 00:32 | category: ハ行(橋本紡) |
# 猫泥棒と木曜日のキッチン

17歳のわたしと父親違いの5歳の弟コウちゃんを残して
母が家を出て行ってしまった。
でも普段から家事は私の仕事だったしお金もなんとかあるので
全然心配しなかった。家族が突然いなくなることに慣れているのだ。
そう言っても心境の変化はあったみたいで
今までは知らんふりしていた交差点の子猫の礫死体を
庭に埋めるようになり、膝を故障した健一君とも知り合った。
彼とコウちゃんとわたしで家族のように過ごすのは心地いい。
ある日今にも死にそうな子猫を拾って近くの獣医に持っていくと
この辺りに不妊手術をしないで子猫を捨てる人がいるようだと聞いた。
そんなの変だ。許せない。
イラスト:橋本紡 装丁:荻窪裕司(bee's knees)

実父は死にDV義父は失踪、そして母親も家出をし、
残された5歳の弟は精神不安定に、
高校生のわたしは猫の死体を拾っては庭に埋める毎日…
と設定だけ書くと暗くどろどろしていますが
母親に対するドライな目線や幸せな食卓風景のおかげで
のんびりとした雰囲気さえ感じられます。

みずきがどんな思いで猫屋敷を探したのかは書かれていませんが
捨てられた子猫と自分を重ねあわせて、というだけでは
なかったような気がします。
もっと根源的に間違いを正したいとか
おばさんに仕返しをしたいとかそういう気持ちが絡まりあったのだろうなぁ。

| comments(2) | trackbacks(1) | 12:15 | category: ハ行(橋本紡) |
# 流れ星が消えないうちに

加地君が死んでしまい、友達だった巧君と付き合い始めた奈緒子。
対照的な2人をそれぞれ好きだけれど
まだ加地君との思い出が濃い部屋では眠れない。
ある日転勤で別々に暮らしていたお父さんが家出してきた。
家族の不和の問題と、昔の恋人の死の問題に
なかなかうまく向き合えずにいる。
写真:Pete Turner/Getty Images
装丁:新潮社装丁室

島本理生を彷彿とさせる状況設定です。
恋人との死別に区切りをつけようとする女の子。
手作りのプラネタリウムなんてロマンチックすぎます。
青春の塊みたいな回想。
「世の中には動かなきゃ見えてこないものがあるんだよ。俺はそういうのをずっと避けてきたんだ。でも、これからはできるだけ動こうと思ってる。たとえ状況自体は変わらなくても、見る目が変わるはずなんだ。」

| comments(0) | trackbacks(0) | 22:33 | category: ハ行(橋本紡) |
# 九つの、物語

お兄ちゃんの部屋で本を読んでいたらお兄ちゃんが帰ってきた。
2年前に死んでしまったはずなのに。
両親が海外にいるのでわたしはお兄ちゃんを受け入れ
前のように暮らし始める。
自分はとてもモテるのに心配性のお兄ちゃんは
彼氏の香月くんを紹介しろとうるさかったり
無断外泊に厳しかったりするけれどやっぱり好きだ。
そんな風にうまくいっているように見えた生活だけれど
香月くんとケンカしてからなんだかおかしくなった。
お兄ちゃんの手からじゃないと物が食べられなくなったし
あてつけに同級生の紺野くんについていこうとしたし
お母さんの適当な血を引いていると思うと悲しくなった。
お兄ちゃんを殺したわたしは死んだ方がいいのかもしれない。
装丁:大久保伸子 装画:中島梨絵

章題の名作をモチーフにまとめてあります。
お兄ちゃんの幽霊と過ごす話というとすごく非日常的だけど
本とご飯がたくさん出てくる素敵な暮らしの話です。
ゆきなの愛されっぷりの方がリアリティにかけるくらいの。

| comments(2) | trackbacks(1) | 00:06 | category: ハ行(橋本紡) |
# 月光スイッチ

セイちゃんの奥さんが出産で里帰りしている間
わたしはセイちゃんと一ヵ月半の新婚生活(仮)を始めた。
最初のうちは奥さんのスペースを占拠している優越感があったのに
だんだんどこにいても奥さんの雰囲気を感じてしまって
ずっとおしいれの中にひそんでいる。
セイちゃんのマンションに住むわけありの人々
(特に母子家庭のかわいい女の子ハナちゃん)や
財布を持たずにコンビニにいったときに出逢った
弥生・睦月姉弟と仲良くなって
自分は本当にこうしていていいのか考えてしまうのだ。
カバー写真:百瀬裕子 ブックデザイン:鈴木成一デザイン室

不倫して奥さんがいない間に男の部屋に転がり込む話。
という風に書くととてもどろどろした作品みたいだけれど
夏の一ヵ月半という設定からか大人の夏休みみたいな印象です。
特別でわくわくしてノスタルジックな気持ちになる感じ。
どろどろした部分も一応ありますがさっぱりした読後感。

装丁が好きだなぁ。鈴木成一デザイン室素敵。

| comments(0) | trackbacks(0) | 15:55 | category: ハ行(橋本紡) |
# 橋をめぐる
 父に反発していた友香が結婚を前に実家を訪ねる「清洲橋」
銀座でバーテンをしていた耕平が町内会を取り持つ「亥之堀橋」
大学受験を目前にクラスメイトが死に旧友に会いに行く「大富橋」
離婚した夫に子どもを預けて自宅で逢引をする「八幡橋」
建築を学んだ将来の夫と新居探しをする「まつぼっくり橋」
両親が不仲で夏休み中祖父の家に預けられる「永代橋」
深川の周りの橋をテーマとした短編集全6編。
装画:引地渉 装丁:大久保明子 写真:榎本麻美

新しい人々と昔からの人々が混ざり合う土地なので
現代なのに少し懐かしい雰囲気です。
「まつぼっくり橋」の生き生きとした建築仲間が素敵でした。
「永代橋」のエンジの生き様も格好いい。
| comments(2) | trackbacks(1) | 22:41 | category: ハ行(橋本紡) |
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