ほんのひとこと

元・本屋でバイトする学生による
日々の読書記録です。
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# 書店はタイムマシーン
「週間ブックレビュー」収録のためNHKに向かう道中で迷い、
初めての受賞である日本推理作家協会賞に行き、
名刺交換の長蛇の列にも負けず立ち続け、
三三七拍子やカニ踊りをしながら直木賞の選考を待ち、
児玉清氏との対談にどきどきし、
友人の写真展のパーティーで乾杯の音頭を取り、
担当K島氏がミステリー検定で一位になり、
情熱大陸の取材を受けながらサイン本を作り、
実家からは着物が送られ、
そうした日常の中に必ず読書をする。
2007年3月から2008年2月まで、
『赤朽葉家の伝説』日本推理作家協会賞受賞から
『私の男』直木賞受賞までを綴った読書エッセイ。
ブックデザイン:岩郷重力+WONDER WORKZ。
イラスト:後藤啓介

桜庭さんの読書ブログを本にしたものです。写メと本の紹介つき。
しかしこの読書量は半端じゃないと思います。

引用されているものだけで
『香水――ある人殺しの物語』(パトリック・ジュースキント)、『劇場』(サマセット・モーム)、
『傘の死体とわたしの妻』(多和田葉子)、『ラブレーの子供たち』(四方田犬彦)、
『サン=ジェルマン=デ=プレ入門』(ボリス・ヴィアン)、『まほちゃんの家』(しまおまほ)、
『1000の小説とバックベアード』(佐藤友哉)、『爆心』(青来有一)、
『うつつ・うつら』(赤染晶子)、『三文オペラ』(ベルトルト・ブレヒト)、『草の花』(福永武彦)、
『ナイトメア』(小倉千加子)、『林檎の木の下で』(アリス・マンロー)、
『アンジェラの灰』(フランク・マコート)、「母の大回転音頭」(『母の発達』笙野頼子)、
『ドン・キホーテの末裔』(清水義範)、『アメリカの鱒釣り』(リチャード・ブローティガン)、
『半島』(松浦寿輝)、『龍秘御天歌』(村田喜代子)、『アラバマ物語』(ハーパー・リー)、
『血族』(山口瞳)、『兄弟』(なかにし礼)、『リンカン・トレイン』(モーリーン・F・マクヒュー)、
『ウォーターランド』(グレアム・スウィフト)、『卵子読者の英米短篇講義』(若島正)、
『また会う日まで』(ジョン・アーヴィング)、『ジーヴズの事件簿』(P・G・ウッドハウス)、
「鍋の中」(『八つの小鍋――村田喜代子傑作短編集』)、
「日本のポップ・ミュージック・コンサート」(『東京日記――リチャード・ブローティガン詩集』)、
『二つの月の記憶』(岸田今日子)、『ポポイ』(倉橋由美子)、
「夜の姉妹団」(『ナイフ投げ師』スティーヴン・ミルハウザー)、
『容疑者の夜行列車』(多和田葉子)、『マーティン・ドレスラーの夢』(スティーブン・ミルハウザー)、
『山本周五郎探偵小説全集2 シャーロック・ホームズ異聞』

挙げていくだけでも疲れます笑
私が読んだことがある作品は
『ナイフ投げ師』くらいしかなかったのですが(・・・)
どの本も読んでみたいと思わせる絶妙な登場をしています。

これを読めばもっと桜庭さんが好きになる!はず。
| comments(0) | trackbacks(0) | 00:06 | category: サ行(桜庭一樹) |
# 道徳という名の少年
評価:
桜庭 一樹
角川書店(角川グループパブリッシング)

町一番の美女が父親不明の子供を次々と産み落とし
すくすくと美しく育つ子供と相反して枯れてゆく「1、2、3、悠久!」
雑貨屋の娘は向かいに住むうつくしい男の子よりも
その父親の腕に惹かれる「ジャングリン・パパの愛撫の手」
ロック歌手で両性具有のジャングリーナは
自らの見る近未来の夢を歌にする「プラスチックの恋人」
元スーパースターの息子のジャンは戦地に赴き
死よりもラヴ・レターのことを気にかける「ぼくの代わりに歌ってくれ」
元スターと自分が親戚であると告げられたミミは
クリステルと共にその屋敷を訪れる「地球で最後の日」
装画・挿画:野田仁美 ブックデザイン:鈴木成一デザイン室

まず装丁が豪華すぎる!
紙もいいし本文は額に収められたようなデザインで
挿画もふんだんに使われています。
そのためこの分量の割りにはいいお値段ですが
まさに愛蔵版というか、電子書籍の間逆をいくとこうなるのだろうなあ。

ストーリーはというと、若い頃はうつくしいけれども
年を重ねるごとに肥大化していく家系の人々の連作短編集です。
不道徳なのに全く背徳感のない彼らは
なんだか呪われているようです。
「地球で最後の日」の若さは『製鉄天使』の彼らの気持ちを思い出す。
| comments(0) | trackbacks(0) | 00:20 | category: サ行(桜庭一樹) |
# 製鉄天使
評価:
桜庭 一樹
東京創元社

丙午生まれで赤緑豆製鉄のバカお嬢こと小豆は
その美貌と真っ赤なバイクで中学入学早々目をつけられた。
頭脳派を自負するぶりっこシャンのスミレを人質にとられ、
小豆は駅前を牛耳るドブスのレディース、エドワード族を壊滅させて
総番であるタケル公認の「製鉄天使」というレディースの結成した。
最初は鉄を操る小豆にマスコットのスミレ、
特攻隊の花火と親衛隊のハイウェイダンサーの4人だったが
走りたがりの少女たちが終結して鳥取と島根を制圧した。
しかし中学卒業とともにスミレが族を抜けて優等生へと変貌し、
失意の元で小豆は中国地方という名の世界制圧を目指した。
子どもの世界にいられるのは19歳までという短い期間だったが、
小豆にはさらに一足速く大人にならねばならない事件が起こる。
カバーデザイン:岩郷重力+WONDER WORKZ

「赤朽葉家の伝説」のスピンオフ小説です。
あの小説のイメージを抱いたままだと
鉄が自在に動いたりバイクが勝手に走ったりする世界に入るまで
ちょっととまどうかもしれません。
不良は不良の、優等生は優等生の偶像を目指していた時代の話。

| comments(0) | trackbacks(0) | 01:12 | category: サ行(桜庭一樹) |
# ファミリーポートレイト

コマコはママと一緒にどこまでも逃げた。
北国の病院の一室、置屋の片隅、豚の解体工場、
盲目の大家がいるおんぼろアパート、巨大庭園。
しかし14歳のときに探偵に追いつかれて
ママはあたしをひとりにして冷たい池に飛び込んだ。
連れ戻された先は有名な教授の豪邸だった。
あたしは高校に住み着いてたくさんの女の子を荒らし、
卒業してからは文壇バーでアルバイトをしながら
客に物語を披露しては新人賞に応募したりしてみた。
そうしてあたしはついにデビューする。
ママの使っていた名前、真宮寺眞子として。
けれども自分が奪われる側から奪う側に移行したことに気づいて
住みかにしていた編集部から逃げ出した。
金魚のたゆたう喫茶店でまったく物語を紡がず
道で拾ったAV女優と一緒に暮らし始めた。
先生というまともな職業に就いた恋人もできた。
それでもあたしはやはり語らないとだめなのだ。
装画:MASAKO ブックデザイン:鈴木成一デザイン室

教育も受けずに母親と一緒に逃げ続けた少女が
金持ちの父親に引き取られて作家への道を歩む。
まだまだ少女である母親への
コマコの絶対的な信頼が恐ろしい。
そして作家の書くことに対する渇望と衝動の激しさが
まざまざと描かれています。
桜庭さんもこんな気持ちで魂に線を引いているのだろうか。

「子どもに親を捨てられるはずがない。たとえどんな親でも。愛さずにおられるはずがない。それがあたしたち、子ども、という生き物の本能。」

「鎖ってのは、どんなに強く立派につくりあげても、一点、弱いところがあることが多い。だけど、いちばん弱いところがその鎖の強度なんだ。だって、誰かに力いっぱい引っぱられたらさ、弱いところが千切れしゃうんだから。ほかの場所がどんなに立派で、強くても、関係ねぇ」

「初め、そこに狂気があった。そして人間はときに、内側の狂気に喰われてしまう。喰われまいとして、からだの一箇所に穴を空け――もちろんそこにはもともと穴などない、自分で刃物を使ってこじ開けるのだ――そこから狂気を外に押し出そうとする。その穴の名を、表現という。己のうちの、狂気を、客観性と加工技術によってエンターテイメントに昇華して、人びとに消費してもらうことによって、ほんの一時、生き延びる。だけど狂気はつぎつぎ生まれてはからだを蝕む。狂気が追い、表現が走る。追いつかれたら破滅するだけだ。」

| comments(0) | trackbacks(0) | 22:43 | category: サ行(桜庭一樹) |
# 私の男
評価:
桜庭 一樹
文藝春秋

わたしは美郎と結婚する。生まれ変わるために。
おとうさんと離れるために。
9歳で震災孤児になったわたしを引き取ってくれた
まだ25歳だったおとうさん。
北の国から逃げてきて、押入れの中に秘密を隠して、
ずっと2人で生きてきた唯一の肉親。血のつながり。
装丁:鈴木成一デザイン室 装画:MARLENE DUMAS

禁忌である。それほどまでに強い愛。絡みつくような感じです。
どろどろどころじゃないですが
何が淳悟をここまで駆り立てたのだろうか。
血のつながりについて考えたことがほとんどないので
この執着が理解できない。

| comments(0) | trackbacks(0) | 10:44 | category: サ行(桜庭一樹) |
# 赤朽葉家の伝説
 山の人に置いて行かれた千里眼を持つ万葉。
レディースのトップに君臨し人気漫画化となる毛毬。
そして何の変哲も無い娘の瞳子。
製鉄業を営む名家の赤朽葉家の趨勢と
その周りで起こる数々の死を瞳子がつづっていく。
Cover Design:岩郷重力・WONDER WORKZ

戦後の日本の移り変わりとそこを生き抜いた3代の女たち。
女が男を支える重厚長大の時代から
暴走族が台頭し校内暴力が問題となる時代、
一見普通の生徒がいじめや援交などの問題を起こす時代、
バブルがはじけて若者が無気力になる時代。
これだけ時代に即して、かつ個性的なキャラクターが多いのは凄いです。
地方の名家だからこそのしがらみもあるし。
さらに創元社だからか推理要素も盛り込んであって
ボリュームたっぷりです。
ビューティフルワールドってどこから来たんですかね。
| comments(0) | trackbacks(0) | 12:27 | category: サ行(桜庭一樹) |
# 少女七竈と七人の可愛そうな大人
いんらんの母から生まれた少女七竃は
非常に美しいかんばせの持ち主であったが
小さな町でその美しさは異形であった。
唯一の美貌の友達雪風と鉄道を愛でながら
自分の顔にうんざりし、母をゆるせないと思いつつ
これからの行く末に想いを馳せる。
装丁:鈴木成一デザイン室 装画:さやか

『荒野』に通じるものがある話だ。
思春期の恋愛から離れたところにいる少女が
大人になっていく物語。
鉄道は何の表象だったのかなぁ。

「これから君、いろんなものを得て、失い、大人になって、そうしていつか娘を産んだら、こんどは自分が、女としてのすべてを裁かれる番だ。」
私は母をゆるさないと思ったことがあったのか。
| comments(0) | trackbacks(0) | 22:22 | category: サ行(桜庭一樹) |
# 荒野
評価:
桜庭 一樹
文藝春秋
恋愛小説家で蜻蛉のような父を持つ荒野は今日から中学生。
行きの電車でセーラーの襟をドアにはさまれてしまい
パニックを起こすが、同じ学校の制服を着た男の子が助けてくれた。
吊り橋効果かその子のことが気になる荒野だったが、
なんと彼は父の再婚相手の息子だった。
荒野の幼い恋と、父を取り巻く濃い男女関係のコントラスト。

出だしだけ書くと少女漫画のようですが(ママレードボーイとかね)
実際はときめくような同居生活ではなく、
大人でも子供でもない少年の葛藤と薄い欲望です。
この頃の少女はあまりにも幼すぎると思う。
男女の関わりも薄くて雰囲気だけだと萩尾望都みたい。
トーマの心臓の女子版みたいな少し閉鎖的で雰囲気のある世界。
となると結局少女漫画なのかな。

だんだんと父親のまわりの女の人たちに追いついていく荒野は
どんな女性になっていくのか。

今回これは本の形では読んでないんです。
読みたいなーって言ってたら社員さんがゲラを貸してくれました。
役得!ちょっと自慢です。しかし読みにくかった。
装丁はやっぱり大切ですね。
| comments(2) | trackbacks(1) | 19:22 | category: サ行(桜庭一樹) |
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