ほんのひとこと

元・本屋でバイトする学生による
日々の読書記録です。
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# 変愛小説集
難破して流れ着いたのは格好いい男の子ばかりいる島だった
「彼氏島」/ステイシー・リクター
医者から体の中にブリザードが吹き荒れていると診断される
「スペシャリスト」/アリソン・スミス
70過ぎた未婚の男が友人から妹を紹介してもらうのを心待ちにする
「妹」/ミランダ・ジュライ
神出鬼没のチアリーダーたちを捜して歩く
「私が西部にやって来て、そこの住人になったわけ」/アリソン・ベイカー
道の途中で倒れた彼女を引きずって歩きながら話しかけ続ける
「道にて」/スティーヴン・ディクソン
ローラにプロポーズしようと計画する一方で彼女を嫌いになることを恐れる
「ヴードゥー・ハート」/スコット・スナイダー
友人2人から彼女の堕胎を勧められる
「ミルドレッド」/レナード・マイケルズ
今まで気がつかなかったけれどどうやら僕の妻は木のマネキンらしい
「マネキン」/ポール・グレノン
人類学、美女、会報、etc、それぞれのテーマの元に書かれた恋愛小話
「『人類学・その他100の物語』より」/ダン・ローズ
彼女の体中に突然歯が生え始める
「歯好症」/ジュリア・スラヴィン
記憶をオフロードして学習用の教材に仕立て上げる
「シュワルツさんのために」/ジョージ・ソーンダーズ
装画:金氏徹平 装丁:名久井直子

前作よりも変愛度は抑え目な気がします。
好きな男を飲み込んでしまう「まる呑み」を書いたジュリア・スラヴィンの作品は
今回体中に歯が生えた女を書いた「歯好症」が載っています。
やっぱりこの人変だわ。

「『人類学・その他100の物語』より」はジョーク集といった感じでどれも軽妙。
「シュワルツさんのために」は記憶をお金にすることの逡巡を描いています。いい話。
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# ロスト・シンボル(下)
評価:
ダン・ブラウン
角川書店

ベラミーの連絡を受けてラングドンとキャサリンを受け容れたのは
ワシントン国立大聖堂の首席司祭であるギャロウェイ師だった。
盲人の彼はピラミッドの解読に行き詰まっている2人に
ピラミッドはおのれの形を変えて秘密を明かすのだと告げる。
一方CIAに捕えられたベラミーはサトウから恐ろしい事実を教えられ
CIAは共に行動するべき味方であったことを知る。
マラークの切り札はフリーメイソンとアメリカの要人たちを地に堕とし
政治に大混乱を起こさせるような衝撃的なものだった。
マラークはラングドンとキャサリンを自分の家におびきよせて
水攻めの拷問によってラングドンに最後の暗号を解かせ、
キャサリンを人質として監禁したまま
失われしことばを求めてピーターと最後の場所へと向かう。
装丁:片岡忠彦

ふんだんに散りばめられた謎と神秘に
やはり正統派エンタテインメント小説だと思います。
ワシントンDCの地理に明るければもっと楽しめただろうなあ。
一応表紙裏に地図がついていますが臨場感がね・・・

アメリカ全土を揺るがす可能性もあるような事件なのですが
マラークの動機がなんとも個人的というかエヴァ的というか。
古の神秘を得て世界征服!くらいの野望があってもよかったです。
彼自身にとってはそれ以上の意味があることだったのでしょうが。
そしてフリーメイソンがなぜ命を懸けてまで
古の神秘を守ろうとしたのかもよくわからぬまま。
それほど重要なものだとは思えませんでした。
過程は面白いのだけれど着地がいまいちだったかなー
| comments(0) | trackbacks(0) | 12:10 | category: 外国 |
# ロスト・シンボル(上)
評価:
ダン・ブラウン
角川書店

象徴学の有名教授であるラングドンの元に
フリーメイソン最高幹部のピーターからワシントンDCでの講演の依頼が来た。
講演は今夜だと言うことで飛んでいったラングドンだったが
連邦議会議事堂ではそんな会は行われておらず
代わりにピーターの切断された右手首が置かれていた。
ピーターの秘書に確認のため電話をすると
その男はピーターを誘拐したと告げラングドンに
ワシントンDCに隠された古の門を見つけるよう要求する。
騒ぎを聞いて駆けつけた警備部長のアンダーソンと
なぜかすぐに現れたCIA保安局長のサトウと共に
手首の示す議事堂の地下に降りると
そこにはフリーメイソンの<自省の間>があり
さらにフリーメイソンの伝説のピラミッドが安置してあった。
フリーメイソン幹部であり議事堂建築監でもあるベラミーの乱入で
ピラミッドを持ったまま逃げ出したラングドンは
誘拐犯から命を狙われていたピーターの妹キャサリンと合流し
ピラミッドに隠された暗号の解読に挑む。
装丁:片岡忠彦

ラングドン・シリーズ第3作はワシントンDCが舞台です。
「至高の存在」への信仰心を持った者が集まった秘密結社
フリーメイソンの古の英知を巡った駆け引きに
ラングドンが巻き込まれていきます。

上巻は謎がどんどん提示されて終わるのでなんとも言えませんが
下巻が気になる上手い持っていき方だなあと。
もちろん隠されている物や暗号も気になりますが
マラークはそれを得てどうするつもりなのか、
サトウがいち早く駆けつけた理由とは、
ベラミーが連絡していた相手とは誰か。

話の展開が『ダヴィンチ・コード』を思い出させますが
骨組みを踏襲していても細部は全く違うのだし
シリーズものの推理小説の宿命なのかも。
| comments(0) | trackbacks(0) | 19:46 | category: 外国 |
# ウッドストックがやってくる
評価:
トム・モンテ,エリオット・タイバー
河出書房新社

タイチバーグ家は呪われているに違いない。
ニューヨークでのデザイナー生活はそれなりに順調だが
両親が思いつきで始めたホワイト・レイクのモーテル経営は最悪だし
ぼくはユダヤ人でしかもゲイだった。
ホワイト・レイクで商工会議所の会長に選ばれたぼくは
開催地を失ったウッドストック・フェスティバルを招くことに成功した。
それまで閑散としていた町には人が押しかけ
がらがらだったモーテルも軒並み満室状態、財政難は過ぎ去った。
やってきた大量のヒッピーや彼らがもたらすドラッグとセックスに対して
地元住民の反対の声は強く毎日のように脅されたが
ウッドストックの代表者であるラングが万事解決してくれた。
そして五十万人の観客と会場に来れなかった百万人を前に
ウッドストックの三日間が始まる!
装丁:永松大剛(BUFFALO.GYM) 装画:100%Orange

さびれた観光地をウッドストックで蘇らせた青年のノンフィクション。
当日の会場の熱気やアーティストの楽屋話が書いてあると思ってたけれど
内容は著者の生い立ちやウッドストック招致までの困難、
そしてウッドストックを通して自我の解放に成功する著者の経験談です。
フリーセックスとドラッグが中心なので
音楽話を読みたい人には期待はずれかも。
しかしすごいのはこれが全部実話ってことかな・・・
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:24 | category: 外国 |
# 飛ぶ教室
クリスマスの劇の練習をするのは寄宿舎で暮らす
弱気なウーリ、皮肉屋のゼバスティアン、
脚本を書いたジョニー、成績優秀のマルティン、
ボクサー志望のマティアスの5年生5人だった。
近所の実業学校の生徒といさかいをしたり
優しい正義さんと菜園の車両に住む禁煙さんに相談したり
ウーリが自分の勇気を試したり
マルティンに悲しい手紙が送られてきたりを経験して
それぞれのクリスマスを迎えるのだった。
装画:望月通陽 装丁:木佐塔一郎

児童文学として有名な『飛ぶ教室』ですが
大人になっても子どものときのことを忘れないで欲しい
というメッセージが込められているので
むしろ大人になってから読む方がその願いに叶っている気がします。
訳者あとがきに児童文学のような懇切丁寧なわかりやすさを削ぎ落として
シンプルな訳に仕上げたとあるのも読み応えがある理由かも。
寄宿舎で暮らす子どもたちは周囲の大人に恵まれていて
臆病な自分を恥じたりお金がなくて実家に帰れなかったりと
悩んでいても大人が手を差し伸べてくれます。
その具合が過剰じゃなくてちょうどいい。
| comments(0) | trackbacks(0) | 00:38 | category: 外国 |
# 九つの物語
海辺のホテルにやってきた精神を病んだシーモアが
砂浜で少女と出会う「バナナフィッシュに最適の日」
大学時代の友人の元へ遊びに来た女が
夫や娘の架空のボーイフレンドの話をする「コネチカットのよろめき叔父さん」
テニス帰りのタクシー代を払ってもらうため友達の家に上がり
お兄さんと姉や軍隊の話をする「対エスキモー戦まぢか」
コマンチ・クラブの少年たちはバスでの移動中に
団長がしてくれる話が大好きだった「笑い男」
舟まで家出した息子を母親が迎えに行く「小舟のところで」
喫茶店で知り合った利発な少女から
軍隊へと手紙が届く「エズメのために」
浮気真っ最中の深夜に友達から馬鹿な女房が帰ってこないと
嘆きの電話を受ける「愛らしき口もと目はみどり」
絵で賞を取ったことのある青年が身分を偽って
美術通信学校の教員に採用される「ド・ドーミエ=スミスの青の時代」
家族で船旅中の聡明な少年が自分の死を予言する「テディー」
カバーデザイン:米谷耕二

サリンジャー追悼。

不安定な大人と利発な、もしくは想像力に溢れた子どもが主なモチーフなのか。
短いですが「小舟のところで」は唯一安心できる話だと思います。
情景が一番浮かんだのもこの作品でした。
他は読み終わった後に疑問がまとわりつきます。
この感じは村上春樹に似ているかも。
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:22 | category: 外国 |
# 文体練習
評価:
レーモン クノー
朝日出版社

バスの中で首の長い変な帽子を被った若者が
隣の客に文句をつけた後そそくさと空席に座り、
さらにその若者が別の場所で友人にコートのボタンについて
指摘されているのを見た。というだけの物語を99の文体で。
隠喩を用いて、擬音、荘重体といった文法的なものから
語尾の類似、音の反復、古典的、リポグラム、
イギリス人のために、のような言葉遊び、
さらには哲学的、集合論、医学、動物たちまで。
造本・本文レイアウト:仲條正義

これはすごい。同じ内容の文章を様々な文体で言い換えていくという
それだけと言ってしまえばそれだけなんだけれども
その文体の発想のバリエーションが途方もないです。
99+3つの文体があるのですが
あとがきによればたびたび改変が加えられていたようで
実際にはもっとたくさんの文体を考えていたクノー。

さらにすごいのはこれを翻訳した朝比奈さんです。
原文にはフランス語ならではの言い回しや洒落や
フランス人の共通認識である古典なんかが
存分にベースに使われているのを全て日本人向けに訳し直すという
膨大な作業を成し遂げています。
そして日本人にとってはほぼ直訳の文体よりも
大幅に改編された言葉遊びのほうがきっと面白いはず。
枕草子や短歌、全てに濁点をつける、女子高生言葉、
ばび語、エセ関西弁にエセ漢文。よくぞこれだけ。
ルイス・キャロルの作品も訳してくれないかなぁ。英語だけど。

そして装丁の見事さにも言及しておきたいです。
| comments(0) | trackbacks(0) | 01:33 | category: 外国 |
# チャイルド44
ソ連の国家保安省に勤める優秀な捜査官であるレオは
部下のフョードルの息子の死を事故と片付けて
監視下で逃亡した獣医を追った。
その際にレオは部下のワシーリーの命令違反を咎めて銃で殴った。
レオを目の敵にしてきたワシーリーはレオの失脚計画を企てる。
レオが風邪を治して職場復帰すると、獣医の供述の中に
彼のレオの妻であるライーサの名があったことを知らされる。
この体制下では疑われた者はすなわち有罪である。
ライーサの監視に当たったレオは無罪の彼女を国家に差し出すか
彼女をかばって彼と両親と全員で罰を受けるかの選択をせまられ、
自分の中の正義を優先したレオは地方の民警に飛ばされた。
その地でレオはフョードルの息子とよく似た子どもたちの遺体を見つける。
さらにロシアの様々な地で同じ手口による遺体が見つかっていた。
しかしこの国では犯罪は決して認められず、
どの事件も国家の邪魔となる人物によるものとして処理されていた。
これ以上の犠牲を出してはならないとレオは単身捜査を始める。
カバー写真:Alex Majoli/Magnum Photos Ed Pritchard/ゲッティ イメージズ
装丁:新潮社装丁室

スターリン体制下で起こる隠された連続殺人事件です。
実際の事件が元になっているそうで、痛ましい。
事件の捜査よりもレオの成長譚として読みたい本です。
少しでも怪しいものは皆取り締まり国家への忠誠が第一だったのが
自らの妻を疑うことで制度の残忍さを知り
また妻が自分を愛していなかったと聞いて打ちのめされる。
それでも連続殺人事件の捜査を続けるうちに
見ず知らずの人々が国家よりも人間関係を大切にするのを見て
信じるべきものが他にもあることに気付いていきます。

ラストはもっと反体制的な革命ヒーロー像を期待してしまった。
生きることを考えればベターな選択なのだろうなあ。
| comments(0) | trackbacks(0) | 12:53 | category: 外国 |
# 月と六ペンス
評価:
ウィリアム・サマセット モーム
光文社

証券取引所に勤め、芸術好きの美しい妻と
可愛らしい2人の子どもと暮らす
平凡で幸せな生活に満足しているように見えた。
しかしストリックランドはある日突然パリに失踪した。
夫を捜して欲しいと夫人に頼まれた私が見たのは
安っぽいホテルで身なりも乱れ、絵に向かう彼の姿だった。
その後親切にしてくれた三流絵描きのストルーブ夫妻の生活を
めちゃくちゃにして乞食同然の暮らしを送り、
彼はバリに向かうのだった。
装画:望月通陽 装丁:木佐塔一郎

人間の持つ多面性が描かれた作品だと感じました。
善良な市民であり荒々しい絵描きであるストリックランド、
芸術好きの妻からキャリアウーマンに転進したエイミー、
審美眼を持ちながら自分の絵は優れないストルーブ、
従順な妻であったはずが情熱に身を焦がしたブランチ。
彼らの理不尽な姿が物語を一筋縄ではいかせません。

これに対して語り手である「私」の設定が曖昧だったのですが
最後の解説でモームがゲイであったという背景を受けて
そういう意味もこめられた作品だったのかと驚きました。

| comments(0) | trackbacks(0) | 12:53 | category: 外国 |
# 若者はみな悲しい
評価:
F.スコット フィッツジェラルド
光文社

ポーラとの破局のせいか結婚できないでいる「お坊ちゃん」
美しいジュディに夢中になり結婚を反故にしてしまう「冬の夢」
子供たちの喧嘩に父親同士がけりをつける「子どもパーティ」
自分が嘘をついたことを告白しに教会へ向かう「赦免」
天真爛漫なお嬢様相手に一芝居うつ
「ラッグズ・マーティン=ジョーンズとイギ○スの皇○子」
自分勝手だった妻が看病と家事に追われる「調停人」
プロのお人好しだったジムが変わろうとする「温血と冷血」
恋人と結婚するために仕事に励むが時間は無常である「常識」
チャンスを掴むために働きづめの生活を送る夫が面白くない
「グレッチェンのひと眠り」
装画:望月通陽 装丁:木佐塔一郎

お金と恋の短編集。
時代柄なのかお嬢様に夢中になる男とか
わがままな妻に困る男とか、そういう話が多い。
私からすればなんでこんな女にそこまで尽くすかなと思いますが
これが男のロマンというものなのですか。
「調停人」のルエラの成長ぶりはすがすがしいです。

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