ほんのひとこと

元・本屋でバイトする学生による
日々の読書記録です。
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# エデン
評価:
近藤 史恵
新潮社

ぼくが所属するフランスのパート・ピカルディというチームは
スポンサーが撤退し解散の危機に瀕していた。
ツール・ド・フランスでいい成績を残せれば次の契約に困らないだろう。
しかし山岳アシストという役割があるぼくが
一番に優先するべきはエースであるミッコの優勝だ。
なのに監督からはチーム存続のためにフランスの新人ニコラを
全員でアシストするよう通達が来て
他のチームメイトもニコラを優先するようになり
チームの雰囲気は最悪だ。
山岳ステージでマイヨ・グランペールを獲得する幸運に恵まれたぼくは
もっと活躍して他のチームに自分を売り込みたい思いに駆られる。
そんな中まことしやかにニコラの薬物使用がささやかれ始める。
カバー写真提供:アフロ 装丁:新潮社装丁室

『サクリファイス』の続編。
日本人で唯一ツール・ド・フランスに出場したチカは
チームの存続とエースのアシスト、自分の功績の3つの選択を強いられる。
チカの選択に甘さを感じる人もいると思いますが
「理解してくれなんて思わないよ。きみの戦い方と、ぼくの戦い方は違う」
という台詞に逡巡と決意の強さが見て取れます。

疾走感や選手の駆け引き、チカの苦悩など面白いのですが
前作はさらにここにミステリが加わっていたことを思うと
少し物足りなさを感じてしまいます。
| comments(0) | trackbacks(0) | 13:56 | category: カ行(近藤史恵) |
# ヴァン・ショーをあなたに

猫とスキレットのかわいそうな関係「錆びないスキレット」
にわかベジタリアンの女性への「憂さばらしのピストゥ」
新しいパン屋と昔ながらのパン屋「ブーランジュリーのメロンパン」
単なる同業者ではなかった「マドモワゼル・ブイヤベースにご用心」
カキ氷が大好きな彼女が出て行った「氷姫」
若き三舟が星の王子様のメッセージを解く「天空の泉」
息子が窓から捨ててしまった「ヴァン・ショーをあなたに」
ブックデザイン:緒方修一
カバーイラスト・デザイン:谷山彩子・本山木犀

前作の方が気持ちのいい話が多かった気がします。
パン屋は先が読めてしまったし。
三舟の過去の話は気になります。

最近グルメミステリーを読むことが増えたかも。

| comments(0) | trackbacks(0) | 12:11 | category: カ行(近藤史恵) |
# 演じられた白い夜
芝居の稽古のために山奥の山荘に合宿に来た麻子。
夫である演出家の匠によって集められた
無名の劇団員たちは当日まで脚本を伏せられていた。
無人島のオフ会で殺人事件が起こるという脚本と同様
劇団員たちも何者かに殺されていく。
芝居の犯人は、そして現実の犯人は誰か。
装丁:守先正+長靖

うーんいまいち。芝居と平行して起こる孤島殺人という
ありがちな設定の上にキャラが全体的に薄い。
特に女性陣が配役とも混同して誰が誰やらさっぱりです。
芝脚本をそのまま載せているのは面白いかも。
| comments(0) | trackbacks(0) | 23:50 | category: カ行(近藤史恵) |
# 桜姫
子役の景太郎が大道具部屋で死んでいるのが見つかった。
女形の小菊は知り合いの探偵・今泉に調査を依頼する。
一方今泉は桜姫を務める銀京からも依頼を受けていた。
それは銀京の幼なじみだった音也の死の真相を探ること。
音也の妹の笙子は自分が兄を殺す夢を見るという。
梨園を舞台に繰り広げられる推理劇。
装丁:緒方修一

あまりすっきりしない話です。
大人の空気を読みすぎた景太郎くんが可哀想すぎる。
音也の真相も意外性は抜群だけれど反則というか。
銀京の狙いも結局は謎だしなんだかなぁ。
小菊さんの視点が一番安心できる。
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:44 | category: カ行(近藤史恵) |
# 賢者はベンチで思索する
服飾の専門学校を卒業した久里子は
アパレルにこだわったためか就職先が見つからず
ファミレスでフリーターを続けていた。
常連の1人にお昼にコーヒー1杯で粘るおじいさんがいる。
犬を飼うことになり散歩に連れて行った公園で久里子は
彼に会い、普段と違うしっかりした姿に驚いた。
彼と話して目を離しているうちにアンが苦しみだし、
毒入りのえさを食べてしまったことがわかる。
最近頻発しているこの事件、いったい誰が犯人なのか。
装丁:大久保裕文、小倉貴義(BetterDays) 装画:早乙女道春

先に続編を読んじゃってたけどこれはこれで面白い。
国枝老人に相談したくなります。
3章では急にバイトが変わっててびっくりしたけれど。
もうちょっと取り上げてもよかったんじゃないかなぁ。
| comments(0) | trackbacks(0) | 22:01 | category: カ行(近藤史恵) |
# ふたつめの月
せっかく正社員になったのに2ヶ月でクビなんて…
片想いの弓田くんは料理修行でイタリアに行っちゃうし
浪人していた弟も大学に入って生き生きしているし。
周りに置いていかれたような気がして次へ進めない久理子は
愛犬アンとトモの散歩中に赤坂老人と再会する。
どうしてクビになったのか、彼が導き出した答えは。
「たったひとつの後悔」ほか3編。
イラストレーション:松尾たいこ ブックデザイン:野中深雪

続編なんですねー知らずに読んでしまった。
赤坂老人が何をしたのか気になる!

それはそうとして、前向きになれる話です。犬に癒される。
赤坂老人の人生を見てきた言葉はなかなか頼りになる。
それでもそんな理由で簡単にクビになるかなぁ、とか
ちょっと無理がある点もちらほら。
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:19 | category: カ行(近藤史恵) |
# タルト・タタンの夢
小さなフランス料理店、ビストロ・パ・マルは今日も満席だ。
無口で侍風のシェフ三舟さんに人当たりのいいコックの志村さん、
俳句好きなソムリエの金子さんにギャルソンのぼくの4人で
この店を回している。
今回予約があったのはエッセイストの寺門さんだ。
彼女が注文したのは鵞鳥のコンフィで作ったカスレだった。
彼女のエッセイを読み返すとどうもそのカスレが原因で
フランス人の恋人と別れてしまったらしい。
それを読んだ三舟さんはなぜか2種類のカスレを作った。
「ぬけがらのカスレ」ほか全7編。
ブックデザイン:緒方修一
カバーイラスト・デザイン:谷山彩子、本山木犀

おいしそう…料理といい謎といい坂木司を思い出します。
「ぬけがらのカスレ」と「割り切れないチョコレート」が好き。
ただ三舟さんを無口だと設定している割にはよくしゃべる気が。
| comments(0) | trackbacks(0) | 15:30 | category: カ行(近藤史恵) |
# サクリファイス
陸上からロードレースに転向したぼくは
日本のプロチームであるチーム・オッジに所属することに。
個人の勝利にこだわりのないぼくはエースである石尾さんを
アシストすることを抵抗なく引き受ける。
しかしツール・ド・ジャポンで運を味方につけ
ステージ優勝1回と総合10位につけることができた。
プライドの高い石尾さんが過去に実力のある袴田という選手を
事故に見せかけて半身不随にさせたと聞き、
石尾さんへの疑いと恐れを抱きながらリエージュ・ルクセンブルクに臨んだ。
同期の伊庭と共に集団と飛び出すが監督から引き返すよう指示が来た。
石尾さんが事故を起こしたのだ。
カバー写真:Panoramic Images/Getty Images
装丁:新潮社装丁室

ロードレースを全然知らなくて競輪みたいな競技かなーと思いながら
読んだんですが、まさにサクリファイスの世界。
チームのエースを勝たせるために他のメンバーが犠牲になることが当然。
自己犠牲は尊いかもしれないけれど、やっぱり嫉妬とか憎悪とか
なかなか割り切れるものではないですよね。
伊庭みたいに次は自分が!というぎらぎらした若者もいるけれど
アシストを続けていくにはかなりの忍耐と考え方の変更が必要で。

ぼくがどうして勝利にこだわらないのか。
「ぼくは心で舌打ちをした。自己顕示欲の道具にされるのは嫌いだ。
 陸上をやっていたときも、それが苦痛だった。なにも考えずに走りたいのに、ぼくが走 ることにはいろんな複雑な意味がつきまとった。監督の自意識や出世欲、学校関係者  も、ぼくが勝つことで、学校の名前が売れるとほくそ笑む。一度も話をしたことのない 同級生ですら、ぼくが勝てば、それが自分の手柄であるかのように胸を張って、他校の 生徒に自慢した。
 もう、そんなことには心底うんざりしているのだ。」

さらにこの話では他のサクリファイスもあるんです。
ドーピングを嫌悪する石尾さんが取った行動は
ベテランだからこそできたことなんだと思う。
自分に託されてきた望みを次の世代に受け継ぐために。
ここの解釈が二転三転するんですが、どれも尤もらしくてやられます。
香乃はばかだなぁ。袴田なんてうさんくさそうな人を選ぶなんて。

爽快スポーツものではないですが
勝負への考え方とかリーダーの責任とか重く、面白いです。
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:44 | category: カ行(近藤史恵) |
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