ほんのひとこと

元・本屋でバイトする学生による
日々の読書記録です。
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# 告白
評価:
町田 康
中央公論新社

自分の考えていることをうまく言葉で表現できないと
悩む熊太郎は子供の頃御陵で人を殺してしまった。
いつ捕まるかという不安を抱えたまま成長した熊太郎は
まともな野良仕事をする気もなく博打三昧の日々を過ごす。
ある日地元の名士松永家の息子が殺した男の弟とそっくりだと気づき
熊太郎を見下しつつふっかけてくる金の無心を断りきれずに
弟分の弥五郎と共に御陵の宝を売ろうと決心し
御陵を訪れると殺したはずの死体がなくなっていた。
さらに観音様に祈ったことで罪業が消滅したのだと確信した熊太郎は
村で評判の美人である縫と所帯を持つことに成功するが
この縫が弟分の寅吉と姦通した。
しかし縫が自分を試すために使わされた使者だと信じ
松永一家と縫の強欲な母親の殺害に踏み切った。
装丁:仲條正義

「河内十人斬り」を行った男の半生を綴った大作です。
自分の犯した罪をいつまでも悩んでいるかと思えば
自暴自棄になって博打で大損したり
頼まれ事に対しては自らの利益と損害を吟味して引き受けては
また後悔して改悛しようと決心したり。
熊太郎の思考がまとまりなくだだ漏れしていてくどいと言えばくどいけれど
これほど考えの軌跡を忠実に書こうとした作品は珍しいのではないだろうか。
人の頭の中を覗き見しているような気持ち。
どの登場人物も非常に人間臭いけれど感情移入できる感じではなかった。

夕刊連載だったそうだけれども細切れに読む話じゃないよなあ。
| comments(0) | trackbacks(0) | 00:47 | category: マ行(町田康) |
# 猫のあしあと

野良猫の保護団体に亡くなったヘッケと似た猫がいれば
もらいたいと言ったところ、全く違う猫ばかりが連れてこられた。
すぐ人間を威嚇するシャア、いつも舌がはみ出しているニゴ、
白血病のトラ、可愛い顔立ちのウメチャン、
小さくて小さくて今にも死んでしまいそうな黒猫エル、
そして前からいるゲンゾーと奈々に囲まれて
仕事そっちのけでついつい相手をしてしまう。
トラの爪を切ろうと奮闘したり、脱柵したウメチャン、ニゴ、シャアを探したり、
エルを威嚇する奈々をなだめたりと大忙しだ。
ブックデザイン:有山達也、飯塚文子(アリヤマデザインストア)
写真:町田康・町田敦子

生き物を飼うことの大変さを改めて感じるエッセイです。
猫のいたずらやそれに対する情けない自分の所は面白おかしく、
死に瀕している猫を救おうとする姿は真摯に描かれています。

最近読んだばかりの「一分間だけ」と「にょっ記」を
足して2で割ったような感じ。
相変わらず不思議なオノマトペが続出です。

| comments(0) | trackbacks(0) | 01:41 | category: マ行(町田康) |
# きれぎれ
なんで俺の絵は売れないのに吉原の主張のない絵が売れるのだ。
なんで俺と見合いをしたときはブスだった富子が
吉原と結婚すると美しくなるのだ。
なんで美しかったサトエは俺と結婚すると醜くなるのだ。
嫉妬がとぐろを巻きながらも俺は吉原に金を借りに行く。
装丁:関口聖司 装画:寺門孝之

やっぱり変わった文体だ。思いつくままというか。
生き生きしているけれど読みづらい。
「人生の聖」は読みにくくて苦手だった。
ある程度のストーリー性がないとつらいみたい。
| comments(0) | trackbacks(0) | 01:32 | category: マ行(町田康) |
# 浄土
みんな本音で話さなければいけない本音街。
店は儲けたいと思っていることを隠さず、女は男に対して不満を隠さず
編集者は駄作だと思っていることを隠さない。
他人の目を気にして遠慮していても
誰も自分の気持ちを汲んでくれようとはしないから
本音で話さざるを得ないのが本音街のいいところ。
「本音街」ほか全7編。
装丁:有山達也、飯塚文子

なんなんだろう不思議な言葉づかいとリズム。
「本音街」は本音が英語の直訳みたいで地の文とのギャップが面白い。
「一言主の神」は言葉で世界を切り分ける、という発想が好き。
まさしく人間の言葉ってそういう役割だよね。
言語相対主義まではいかないけれど。

「あぱぱ踊り」「自分の群像」に出てくる
自分のことを完全に過信しきっている人に苛立つ。
よくここまで感じ悪く書けるものです。
どちらも最後に抹消されるのはうっぷん晴らしなのか。
| comments(0) | trackbacks(0) | 00:15 | category: マ行(町田康) |
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