|
評価:
垣根 涼介
新潮社
|
英会話学校の講師を勤める優子は
自分のやりたいことがはっきりとわからず
ホテルマンから大学院を目指し今の仕事にたどり着く
「File1.ビューティフル・ドリーマー」
旅行会社営業の古屋は営業成績はいいのだが
中途の面接で宣言したとおり自分の給料の3倍分までしか働かず
女の子にちょっかい出したり定時で帰ったりと上司の反感を買う
「File2.やどかりの人生」
自動車ディーラーのメカを務める宅間は
車への愛着が人一倍強く古い車を大切にする顧客の評判は最高だが
車を移動手段としか見ない客や効率化を図る本社からは受けが悪い
「File3.みんなの力」
文芸志望のはずが週刊誌配属となった恵は
週刊誌が廃刊となり上司の計らいで文芸部署に移る手はずとなっていたが
自分は本当に文芸がしたいのか悩む
「File4.張り込み姫」
装画:井筒啓之 装丁:新潮社装丁室
リストラ請負会社に務める真介が
今回も様々な職業の人間と面接し、行く末を見届けます。
英会話学校講師、旅行会社営業、自動車ディーラーのメカニック、週刊誌記者。
週刊誌記者なんて出版社の名前も真潮社だし
作中では株式会社だけれども「働きマン」みたいな感じで
かなり内実を表しているのでしょう。
「FOCUS」の廃刊時にはこんなごたごたがあったのかなーと想像しました。
一番人情味に溢れているのは「みんなの力」。
こんなにとんとん拍子に話が進むのは御都合主義かもしれないけれど
効率化を図る企業とは別に丁寧な仕事をする職人気質の人が
きちんと生きていけるような社会になればいい。