ほんのひとこと

元・本屋でバイトする学生による
日々の読書記録です。
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# 原稿零枚日記
温泉の近くで『苔料理専門店』で食事をとる。
子供時代に住んでいた家についてのインタビューで語る。
小学校の運動会巡りで借り物競争に駆り出され、
景品の学習ノートに原稿を書くことを思いつく。
マルセイユのバスで出会った”有名な作家”が誰だったか思い出せない。
生活改善課のRさんに学習ノートに原稿を書くことを止められる。
小石を拾いながら200字のあらすじ書きで食べていた。
盆栽フェスティバルでRさんと作家のWさんとはぐれる。
子泣き相撲で探し求めていた赤ん坊を受け取ろうとする。
ひとり、またひとりと消えていく現代アートのツアーに参加する。
本当のようで本当でない、フィクション日記。
装画:小杉小二郎 装丁:水木奏

最初はエッセイなのかと思っていたけれど
『苔料理専門店』あたりから疑いはじめて、
爪が苔色になったところでフィクションだとやっと確信しました。
小川さんの身になら起こっても不思議じゃないような気もします。

新人賞の下読みから始めたというあらすじ書きについてが
とても興味深かったです。
全体の構造と中心の流れ、支流の様子をぼんやりとつかみ、
小説の大切な支点となっている2,3の小石を拾う。
試しにこの小説でやってみようと考えましたが
まず突飛なことが細切れに置きすぎて流れが見つからない。
そして小石だらけのように思えてしまう。
それくらいひっかかるところの多い作品です。
結局頓挫したまま終了しました。うう。
| comments(0) | trackbacks(0) | 01:00 | category: ア行(小川洋子) |
# カラーひよことコーヒー豆
タクシーの無線機がかわいそう。
明治生まれに見られることのいいことわるいこと。
自分の小説が読者の手元に届く現場を目にするご褒美。
調理補助、通訳など黒子的な仕事への憧れ。
姪の声を聞くことが最近の落ち込み脱出法。
枕草子の切れ味と女性の普遍の悩み。
フィギュアスケーターに見る技術よりも個性の重要さ。
いつかは恋人ではなく自分のために歌うようになるジュウシマツ。
カラーひよこがいなくなっても、愛犬にコーヒー豆ができても変わらずにいたい。
愛犬が死んでもきっと悲しさがいとおしさに変わる日が来る。
最後に自分の命を守ってくれるかもしれない、靴。
装画・装丁:寺田順三

エッセイなのですが文章全体から小川洋子ワールドがにじみ出ています。
特にいくつかの章に登場する、影の仕事への興味と愛情。
確かに彼女の小説はスポットライトの当たらない職業の人々の
ひたむきさや真剣さを描き出し、
そこに神聖なものを見出している作品が多いです。

少し現実離れした雰囲気を感じつつも、
浅田真央の名前が出たりして、あ、最近の話なんだなと思い返します。
| comments(0) | trackbacks(0) | 00:39 | category: ア行(小川洋子) |
# ミーナの行進
評価:
小川 洋子
中央公論新社

母と2人暮らしだった私は中学入学をきっかけに
芦屋にある伯母さんのお屋敷に預けられることとなった。
屋敷には飲料水会社の社長であるスマートな伯父さんに
美しく病弱な少女ミーナ、ドイツ人のローザおばあさん、
庭師の小林さん、お手伝いの米田さん、
そしてコビトカバのポチ子が暮らしていた。
私はいつも1つ年下のミーナと一緒にいるようになった。
ミーナの点ける火に見とれ、マッチ箱のお話を読み、
ミーナのために図書館に通ってとっくりさんに恋をし、
ミーナと水曜日の青年の恋を応援し、
フレッシー動物園の在りし頃の話を聞き、
一時帰国したお兄さんの龍一さんと海に行き、
ミュンヘンオリンピックで男子バレーを熱烈に応援し、
ジャコビニ流星群を見に夜更かしをした。
この年にみんなで揃った写真を私は今もまだ大切にしている。
装丁・装画:寺田順三

小川洋子の世界です。数式を思い出させるような。
博士にとっての数式や野球が
ミーナにとってのマッチやバレーボールなのです。
それでも子供が主人公なので優しく落ち着いた1年間だし
未来に向かっていく終わり方になっている。

この人の話が静かなのは「思慮深い」という表現や
全ての出来事に完璧な手順が決まっているところに
あるのではないかとやっと思い当る。
小川洋子にかかればマッチに火をつけることも、
ポチ子に乗って通学することも、誤植を見つけることも、
バレーボールのラリーを続けることも、
神聖な儀式のように扱われる。

マッチ箱のお話をかたっぱしから読み尽くしたい。

| comments(0) | trackbacks(0) | 01:14 | category: ア行(小川洋子) |
# 猫を抱いて象と泳ぐ
少年にチェスを教えたのはマスターだった。
廃車になったバスに住む彼の元に通い詰めた少年には
猫のポーンを抱きながら
チェス盤の下にもぐりこむスタイルが定着した。
しかしマスターは心臓発作で一人静かに亡くなった。
悲しみにくれていた少年はマスターのチェス盤を持ち帰り
成長してその下に入れなくなることを恐れた。
ある日彼の元に海底チェス倶楽部で
チェス人形のブレーンとなってくれないかという依頼が舞い込んできた。
その名は”リトル・アリョーヒン”。
からくり人形の下にもぐりこんで音だけを頼りにチェスを指す。
駒を取り棋譜を指すのはミイラの役目となった。
カバー作品:前田昌良 デザイン:関口聖司

メトロポリタンミュージアムという歌を思い出す。
どうしてこの人はいびつな美しさがこんなに上手いのだろう。
マスターの死を予感させる部分に泣いてしまう。
チェスのルールだけでも覚えてみようかな…
| comments(0) | trackbacks(0) | 15:47 | category: ア行(小川洋子) |
# 海
評価:
小川 洋子
新潮社
結婚の承諾を得るために泉さんの実家へ行った。
彼女の家族は父、母、祖母、そして小さな弟。
ぎくしゃくとした雰囲気の中夕餉は終わり、
僕は小さな弟の部屋で寝ることとなる。表題作他6編。

「缶入りドロップ」がいい!
見開きで収まるくらいの本当に短いお話なんだけれど
運転手さんの人柄のよさが染み出ている。ここに全文引用したいくらい。
こういう心遣いとセンスがある人って本当に憧れる。

「バタフライ和文タイプ事務所」はこれぞ小川さんという感じ。
管理人が活字を扱う姿勢は「博士の愛した数式」に通じる姿勢がある。
記号に対する人格付けとか愛しみ方とか。
| comments(0) | trackbacks(0) | 20:11 | category: ア行(小川洋子) |
# 夜明けの縁をさ迷う人々
中華料理店のエレベーターに生み捨てられたイービーは
店内から出ることもなくエレベーターの一部となった。
ウェイトレスの私はイービーのもとへ食事を運んでは
エレベーターを動かしてもらうことに夢中になる。
しかし老朽化から店の取り壊しが決定し…
「イービーのかなわぬ望み」
他には曲芸と野球、教授宅の留守番、お探しの物件、涙売り、
パラソルチョコレート、ラ・ヴェール嬢、銀山の狩猟小屋、再試合。

いしいしんじっぽい!どの話も古い部屋の匂いがする。
変わっていて、うらぶれたハッピーエンドじゃない話たち。
涙売りが痛すぎます。狂気を孕んでいたり。
| comments(0) | trackbacks(0) | 20:43 | category: ア行(小川洋子) |
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