ほんのひとこと

元・本屋でバイトする学生による
日々の読書記録です。
<< September 2019 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
# スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | - | | category: - |
# 神去なあなあ日常
就職も進学も決まらないまま高校の卒業式を迎えた俺は
担任の勝手で神去村で林業をすることになった。
最初は何度も脱走を試みたもののいつもあっけなく連れ戻され
腹を括ったわけではないがヨキの家に住みこの村になじむ努力を始めた。
しかし林業は過酷な仕事だ。
冬は雪の重みで幹が曲がらないように固定する雪おこし、
春は灌木を切り地ごしらえをした後苗木の植えつけ、
花粉症に苦しめられながらの間伐、初夏は下刈り、
出荷する幹を磨き、余計な枝を落とす。
体力的にもきついし、命がけだ。
しかしじいさんたちに負けてはいられない。
森の仕事も季節によって違うが村の行事もいろいろだ。
春は花見、夏は祭り、
秋には山の神様であるオオヤマヅミさまの祭りがある。
さらにおやかたである清一さんの一人息子の山太が神隠しにあったり
観光客の煙草による山火事が起きたりと事件も重なり
俺には加えて直紀さんへの切ない片想いという重大な問題もあって
一年はあっという間だ。
装画:金子恵 装丁:緒方修一

都会っ子が山村に放り込まれ林業に従事させられるという
のっけから大胆な始まり方です。
林業の厳しさと魅力が伝わってくる話です。
とは言っても実際に自分がやるとなると話は変わってくるだろうなあ・・・
主人公の勇気は一部反発はあるように書かれているけれども
村側に受け入れ体制が整っているというか、周りの人に恵まれています。
現実的に過疎が進む村に一人住もうとしても
壁は感じてしまうのではないかなあ。行ってみないともちろんわかりませんが。

おばあちゃんがお小遣いをくれるシーンでなぜか泣きそうになる。
あとはみんなでノコに自信を取り戻させるところが好き。
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:21 | category: マ行(三浦しをん) |
# 天国旅行
評価:
三浦 しをん
新潮社

樹海で首吊りに失敗した中年の明男が
よりより死に場所が見つかるまで通りかかった青年についていく「森の奥」
かけおちしたとき、浮気が発覚したとき、子供を残さなかったとき、
「死んでおけばよかった」と嘯く妻に送る「遺言」
民俗学研究の学生にウメおばあさんの初盆のときにやってきた
おばあさんの別れた旦那の孫だと名乗る男の話をする「初盆の客」
子供の頃から夢で見る心中相手の小平を愛し
彼の生まれ変わりである根岸課長と不倫をする「君は夜」
密かに想いを寄せていた立木先輩が校庭で焼身自殺し、
先輩の彼女である初音に先生に復讐しようと持ちかけられる「炎」
轢き逃げされて死んだはずのの彼女の香那が自分にだけ見え、
今は嬉しいがこれから先どうなってしまうのか考える「星くずドライブ」
一家心中の生き残りだからか恋愛が出来ず金属造形で生計を立てながら
同情で優しくしてくれる友人を煙たく思う「SINK」
心中をテーマにした短編集。
装画:Klaus Haapaniemi 'Basque'
装丁:新潮社装丁室

心中がテーマなんだけれども命の重さを感じるというよりは
その行為によって表現される愛や執着の強さと
静かな決意を感じさせる物語が多いです。

樹海でであった見知らぬ青年と、かけおちしてきた妻と、
すでに逝った二人の夫と、夢の中の愛しい男と、
死んでしまった先輩の彼女と、幽霊となった彼女と、家族と。

一人で死ぬのではなく二人以上で一緒に世界から消えることは
幸せなんだろうか。
今回の話では必ずしも同時ではなくて後追い自殺のような形でも
心中として扱っているので意味はかなり広い。
「初盆の客」のような心中は素敵だと思います。

圧倒的に美しいのは「遺言」で、シチュエーションも言い回しも
長い年月を一緒に過ごしてきたからこその言葉で溢れています。
「森の奥」は荻原浩、「炎」は桜庭一樹が好きな人は好きだと思う。
一番現実的じゃないはずなのに主人公の対応が妙に現実的なのは
「星くずドライブ」でした。
彼女が幽霊になってでも会いに来てくれるのは嬉しいけれど
この先一生他の女の人と恋愛ができないというのは
若い身にとっては厳しいよね。
| comments(0) | trackbacks(0) | 23:47 | category: マ行(三浦しをん) |
# まほろ駅前番外地

明日の掃除で行く家主の女の指輪を隠して欲しいと依頼される「光る石」
暴力団に恩を売りチンピラを一掃しつつ
自分に対してはストイックで清海が心配な「星良一の優雅な日常」
病院のばあちゃんから若い頃のロマンスを聞く「思い出の銀幕」
バスが運行をさぼっていないか見張る2人が
喧嘩をしているようだと心配する「岡夫人は観察する」
行天に見つかりカラオケで女の子を引っ掛けたり
塾の先生が美人局に会うのを目撃する「由良公は運が悪い」
外食チェーンの美人社長から
死んでしまった夫の別宅の遺品整理を頼まれる「逃げる男」
インフルエンザの妻と娘の世話に借り出される「なごりの月」
写真:前康輔 イラスト:下村富美 装丁:大久保明子

多田便利軒を再読して望んだ方がよかったかも。
番外地というタイトルだからサイドストーリーばかりかと思ってたら
2人の過去を匂わす意味深な空気が底を流れていました。
「星良一の優雅な日常」と「岡夫人は観察する」が好き。
待つ続編!

| comments(0) | trackbacks(0) | 23:57 | category: マ行(三浦しをん) |
# 星間商事株式会社社史編纂室

企画部でバリバリ働いていた幸代が飛ばされたのは
メンバーわずか5人の社史編纂室。
ヤリチン矢田とセクシーみっこちゃん、本間課長と幽霊部長だ。
このゆるゆる部署でひとついいことがあるのは
幸代の趣味である同人誌作りに時間が割けることだ。
高校からの同人友達英里子と美咲と合同本を続けているし
同棲中の洋平も理解を示してくれるし恵まれた環境だった。
しかし会社でコピー本を作っている所を課長に見つかり
課長は社史編纂室で同人誌を発行すると言い出した。
自分史だという課長の話はどうやら
星間商事の闇歴史をモチーフにしているらしく
幸代たちは本業としても調査を進める。
カバー写真:Fotog/グッティ イメージズ 表紙写真:AKG/PPS通信社
装丁:鈴木成一デザイン室

会社の闇歴史を同人誌で発行するという変わった話です。
キャラクターは面白いのだけれど
隠された事実を探るドキドキ感はあまりないです。脅迫も実害なかったし。
それよりも同人作家たちの恋人との距離感が面白かった。
見なかったことにしてもらったり、隠し通すために辞めたり、
逆に作るのを手伝ってもらったりと様々です。実際のところどうなんだろう。

| comments(1) | trackbacks(1) | 00:57 | category: マ行(三浦しをん) |
# 仏果を得ず
評価:
三浦 しをん
双葉社

研修所を出て文楽の大夫になった健は
師匠の銀大夫から兎一郎の三味線と組むように言われる。
同じ大夫と組まないことで有名だった兎一郎だが
健のことは気に入ったらしく稽古にも参加するようになった。
公演ごとに役の気持ちを理解するのに苦しむ健。
そこに加えて文楽指導のボランティア先の小学校で
ミラちゃんのお母さんに恋をしてしまい
さらなる苦労が積み重なる。
装丁:松昭教 装画:勝田文

文楽は見たことがないのですが興味がわきました。
ワルだった健がここまでのめりこんでしまうものって
どれだけすごいのだろう。
兎一郎があとたった60年で文楽を極める自信があるのかと
問いただすシーンがあり、
文楽の奥深さとそれに対する1人の人生の短さを鳥瞰できました。
また役を理解するごとに成長していく健が頼もしくもあります。
しかし30歳過ぎてるとは思えないなぁ…

| comments(0) | trackbacks(0) | 01:16 | category: マ行(三浦しをん) |
# 風が強く吹いている

走が転がり込んだおんぼろ寮は実は陸上部の宿舎だった。
優秀な選手だったが怪我で休養していた清瀬に
モテたい双子のジョータとジョージ、司法試験に合格したユキ、
ヘビースモーカーで5年生のニコチャン、留学生のムサ、
クイズ王で就活生のキング、物静かな神童、
美形漫画オタクの王子、そして走の10人だ。
清瀬と走とニコチャン以外は陸上経験のない彼らが
清瀬の発案により箱根駅伝を目指すこととなった。
記録だけを追い求める高校の陸上部に辟易していて
問題を起こしたことのある走は
選手を尊重する清瀬のやり方を好ましく感じていた。
スピード以外に走ることの目的とは何なのか。
装画・挿画:山口晃 装丁:新潮社装丁室

面白かった!爽やか青春スポーツものです。
弱小どころか初心者が1年で
箱根を走りきれるのかは疑問ですが
1番を目指すこと以外の走りの意味を見つけるには
様々な価値観の持ち主を集める必要があったのだと思います。
途中でもっと脱落しかける人がいてもよかったかも。
表紙もかなりお気に入りです。

「きみの価値基準はスピードだけなのか。だったら走る意味はない。新幹線に乗れ!飛行機に乗れ!そのほうが速いぞ!」

| comments(0) | trackbacks(0) | 00:21 | category: マ行(三浦しをん) |
# 光
評価:
三浦 しをん
集英社
東京から離れた小さな島を大津波が襲った。
信之と彼につきまとっていた輔、
そして逢引の約束をしていた美花は助かった。
また輔の父親と旅行に来ていた山中も沖に出ていたため生還した。
小学校に避難している間信之は美花を犯そうとする山中を殺してしまう。
しかし島中遺体だらけで捜索はうやむやになった。
それから十数年。東京近郊に暮らす彼らは当時のことを思い出していた。

東野圭吾のような感じ。悲惨な過去と暴力の話だからかな。
あと魔性の女がいるところとか。
暴力は暴力で報われるのかというのがテーマらしいけれど
良心の呵責が全くないのならば報われるのかもしれない。
ただただ原因を排除すればすっきりするのならば。
そういうテーマのせいか感情移入できるキャラクターがいなかった。
ゲラ読み。
| comments(0) | trackbacks(0) | 22:43 | category: マ行(三浦しをん) |
# きみはポラリス
車の後部座席で寝ていたらいつの間にか誘拐されていた。
逃走中らしい文蔵は私が乗っているのに気づかず
うちの車を盗んだのだ。
三年生の私の話をちゃんと聞いてくれる文蔵を
好ましく思いながら車は大阪へと向かう。
「冬の一等星」ほか全11編。
装丁:新潮社装丁室 装画:上野由美

後半に収録されている話が好き。
「ペーパークラフト」の意趣返しとか
「森を歩く」「優雅な生活」の男のまっすぐな馬鹿さ加減とか
「春太の毎日」の健気な愛と独占欲とか
「冬の一等星」の文蔵の優しさとか。
軽めの話が読みたいときは後半を、
重いほうがいいときは前半を読むといいと思います。
| comments(0) | trackbacks(0) | 21:54 | category: マ行(三浦しをん) |
# まほろ駅前多田便利軒
便利屋をしている多田は高校時代の同級生、行天を
バス停で拾ってしまった。
在学中一度も話したことがなかったにも関わらず
帰る場所のない行天は多田の事務所兼住居に転がり込むことに。
超マイペースな行天とどこか抜けている多田は
ヤバい仕事に巻き込まれつつも閉鎖的なまほろ市で便利屋を営む。

章ごとのイラストのせいかもしれないけれど絵が浮かぶ作品。
行天の事情がもっと知りたいです。
それくらい有りそうな割りにつかめないキャラクター。

人間活動の基本は家族なのかね。
| comments(0) | trackbacks(0) | 22:48 | category: マ行(三浦しをん) |
# 白蛇島
評価:
三浦 しをん
角川書店
夏休みに故郷の拝島に帰ってきた悟史は
持念兄弟の光市と一緒に13年ぶりの大祭を迎える。
昔から「不思議」を見てしまう悟史は
神宮の次男・荒太やその友達の犬丸と共に
大祭の前の不安定な島に押し寄せる物の怪と対峙することに。

伝統に縛られた閉じた島。こういう設定好きです。
あと変に恋愛を持ち込まないで真摯に向き合ってる感じとか。
ラストで一人祠を巡る荒太の姿も見たかった。
そしてできればじっとりした夏の日に読みたい。
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:38 | category: マ行(三浦しをん) |
Categories
Profile
Comments
Trackback
Mobile
qrcode
Search this site
Sponsored Links