ほんのひとこと

元・本屋でバイトする学生による
日々の読書記録です。
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# チーズと塩と豆と
評価:
井上 荒野,江國 香織,角田 光代,森 絵都
ホーム社

母が不治の病だと発表する場にも関わらず
いつも通りクラブを借り切り会食をする親族が信じられず、
大学進学を機にわたしはバスクを出た。
大学を卒業してからも家には戻らず
アルバイトでお金を貯めては旅行に行きゲストハウスで料理を振る舞っていると
難民キャンプで炊き出しを行うNGOに誘われる。
「神さまの庭」/角田光代
トリノの高校時代に私とカルロは出会った。
三十歳の年の差を気にせず私たちは卒業後すぐに結婚して
大学に進学せずに山で暮らすことに決めた。
それから十四年、カルロは突然倒れ半年以上意識が戻らないままだ。
私は今日もカルロに届くようミネストローネを作って病院へ向かう。
途中で男の子と会ったりもするけれど。
「理由」/井上荒野
ブルターニュの慣習に縛られた家を飛び出して
シェフを目指していた僕が久しぶりに家に戻ったのは
絶交中の母が危篤で倒れたからだった。
皮肉にもブルターニュ人らしい粘り強さを発揮して
チーフシェフまで上り詰めた僕は
編集者のサラと一緒に家に戻り、母の気持ちを知ることとなった。
「ブレノワール」/森絵都
あらゆる人に誠実なマヌエルと僕はコテージを訪れた。
コテージやその周辺の食事を楽しみながら
僕は自分とマヌエルの関係性について考える。
「アレンテージョ」/江國香織
写真:源孝志、大野晋三 装丁:坂川栄治+坂川朱音(坂川事務所)

NHK・BS「プレミアム8」で2010年10月に
女性直木賞作家が南ヨーロッパで取材をして
物語を作り上げていく過程を撮影した番組をやっていたのですが、
その企画で作られた豪華な4作品です。
偶然井上荒野さんの回だけ見たのですが、
南欧の自然のおおらかさ、食べ物の魅力、
そしてこの作品をもとにしたドラマが放送され
盛り沢山な番組となっていました。

「理由」の登場人物であるカルロとアリダは本当にモデルがいて、
高校の先生と生徒として知り合って山で暮らす素敵なお二人でした。
現実のカルロはまだぴんぴんしていましたがいずれこうなってしまうのかなあ。
もしモデルのお二人がこの小説を読んだら気を悪くしないか心配です。
だってカルロが意識不明の重体に陥っているのに
若いアリダは他の男にうつつを抜かしているなんてねぇ…

「神さまの庭」と「プレノワール」は少し似ている気がします。
慣習に縛られた故郷を飛び出して料理人になるけれど
実はその慣習こそが自分の血となり肉となっていたことに気づいていく。
ベタな設定ですがいい話です。「プレノワール」の方が泣かせます。

「アレンテージョ」が一番とりとめがない感じでのんびりできます。
| comments(0) | trackbacks(0) | 00:56 | category: その他オムニバス |
# スタートライン 始まりをめぐる19の物語
久しぶりに故郷に戻り『ベッチャー』を見る「帰省」/光原百合
離婚した夫が望んだ大きな風呂で息子に恋愛相談をする「1620」/三羽省吾
別れようとする彼を引きとめ喫茶店で向かい合う「柔らかな女の記憶」/金原ひとみ
島にカヤックで来た女は椰子の実から生まれたと言う「海辺の別荘で」/恒川光太郎
始めてきた街なのに自分がそこに住んでいたように感じる「街の記憶」/三崎亜記
渋谷の交差点で手をつなぐと必ずトンネル効果が起こる「恋する交差点」/中田永一
十年以上前に別れた彼女と男女の友情について語る「花嫁の悪い癖」/伊藤たかみ
入籍した直後、一人で結婚をじわじわと実感する「ココア」/島本理生
公園でお弁当を食べながら高校時代の彼を思い出す「風が持っていった」/橋本紡
会社勤めの傍らのバンドのライブ後に可愛い子に声をかけられる「会心幕張」/宮木あや子
彼氏と別れた友達の新しい部屋を探す「終わりと始まりのあいだの木曜日」/柴崎友香
ロックフェスに向かう電車の中の女2人連れ「バンドTシャツと日差しと水分の日」/津村記久子
夫の墓参り帰りに近くの喫茶店でおしるこを頼み夫を思い出す「おしるこ」/中島たい子
81歳の自分から12歳の自分へのことづてを妄想する「とっぴんぱらりのぷう」/朝倉かすみ
独身最後の一人旅で小説を書く決心をする「その男と私」/藤谷治
泥棒を、警察を、立派なトロフィーで殴りつける「トロフィー」/西加奈子
母だった私が娘の息子のお嫁さんのお腹に宿る「はじまりのものがたり」/中島桃果子
二つの村の長になるために魔コを殺して食べなければならない「魔コごろし」/万城目学
飲み屋を経営する父の再婚話に先を越される「パパミルク」/小川糸
カバーデザイン:山本知香子

今をときめく作家さんたちを詰め込んだ超短編集。
しかし220ページに19作も収録しているから1話が本当に短くて
せっかく豪華なメンバーなのに活かしきれていない気がします。もったいない。

バツイチママと息子の会話が面白い「1620」
短いストーリーの中で殺人を犯した椰子の実が登場する「海辺の別荘で」
他の作品とつながりのある「街の記憶」
めまぐるしく変化する感情をユーモラスに描いた「おしるこ」
がよかったです。
「魔コごろし」は途中で読めちゃったけど
あまり万城目さんにこういう作品のイメージなかったから新鮮でした。
| comments(0) | trackbacks(0) | 00:46 | category: その他オムニバス |
# 東と西 2
評価:
いしい しんじ,升野 英知,西村 賢太,藤谷 治,戌井 昭人,誉田 哲也,吉村 萬壱
小学館

祭りの間は船に触ってはいけないというタブーを破った若い漁師7人は
時間も方角もわからないままいつの間にかマグロになっていた「野島沖」/いしいしんじ
88歳で往生した私はゆらゆらゆらとあの世へ向かい
次に何に生まれ変わるかを選択する「来世不動産」/升野英知(バカリズム)
整髪料の独特な臭いを嫌悪する貫太は同棲している秋江が
タクシーに乗ったことを匂いで看破する「肩先に花の香りを残す人」/西村賢太
吉原を抜けて酒問屋に嫁いだ清鶴が借金が元で縁を切った娘だと知り
金の無心にいく権蔵が悪巧みを働く和馬に声をかけられる「続すみだ川」/藤谷治
港町の繁華街のどん詰まりで婆さんと孫が働くさびれたホテルには
行商人や酔っ払い、謎の女が泊まりに来る「ダラホテル」/戌井昭人
ストーカーになってしまったヒロを突き飛ばした私は
ヒロを殺したのかもしれないと怯えながら姉と村へ戻る「帰省」/誉田哲也
無人島にキャンプに来た高校生たちがパイナップルのような機械で殺戮され
生き残った友田は同じく生き延びた高島をイヴのように思う「微塵島にて」/吉村萬壱
装丁・装画・編集:池田進吾(67)

純文学アンソロジー第2段。今回の執筆者は男性ばかりです。
不潔なホテルとか大量殺戮マシンとグロテスクな生物とか
気が滅入るような描写が多い中で
「来世不動産」の明るさが際立ちます。さすがバカリズム。
「続すみだ川」はまだまだ続きそうな終わり方なので
『東と西3』が出たら続きが読めるのでしょうか。
| comments(0) | trackbacks(0) | 18:50 | category: その他オムニバス |
# きみが見つける物語 不思議な話編
若い娘を皮切りに村中の人々が自分の顔が盗まれたと訴え
顔を隠し始める「すげ替えられた顔色」/いしいしんじ
失踪した女子高生が白骨死体で見つかり
犯人の顔を目撃していた純子に電話がくる「純子の冒険」/宗田理
常連の老婦人が失踪したと聞き書店員の杏子は
彼女が最後に買った本から推理する「標野にて 君が袖振る」/大崎梢
塾帰りの子供を狙った犯罪や塾に通い詰める子供の過労死が問題になり
政府が塾を撤廃し大論争となる「廃塾令」/筒井康隆
動物がいる空間そのものをプロデュースするという
すきま産業を行う「動物園」/三崎亜記
カバーイラスト:宮尾和孝 カバーデザイン:國枝達也(角川書店装丁室)

このシリーズのラインナップはかなりツボです。
いしいしんじは流石の不可解さ。これだけ再読かな。
宗田理は本当に久しぶりでした!
中学のときにぼくらのシリーズにはまったぶりだと思います。
やっぱりあの頃読むべきもので今ではちょっと物足りない気もします。
大崎梢は和歌をモチーフにしたお洒落な作品です。
もっと長く重く書いても楽しめそう。
筒井康隆はなぜか台本の体裁で塾の弊害や
教育に対する本音と建前を面白おかしく書いている。

一番好きだったのは三崎亜記です。
この人のアイディアは本当にどこから出てくるのだろうか。
動物のいる空間をプロデュースして動物園の展示にしてしまう、
しかもある程度訓練を積めば誰でもできてしまうという設定が面白い。
その設定を生かした悩みをもっと提示できれば深みが増すと思います。
檻に例えて軽く触れられているけれども。
| comments(0) | trackbacks(0) | 21:30 | category: その他オムニバス |
# ひと粒の宇宙
評価:
堀江 敏幸,嶽本 野ばら,勝目 梓,西村 賢太,吉田 篤弘,佐野 洋,片岡 義男,橋本 治,古川 日出男,高橋 三千綱,矢作 俊彦,石田衣良 はじめの全30,平野 啓一郎,重松 清,高橋 克彦,大岡 玲,いしい しんじ,石田 衣良,又吉 栄喜,佐伯 一麦
角川書店(角川グループパブリッシング)

祖父の通夜に猫が訪ねてくる「ミケーネ」/いしいしんじ
町内会で神様を探す「神様捜索隊」/大崎善生
墓参りの帰りに赤提灯に寄る「焼き鳥とクラリネット」/佐伯一麦
単身赴任を終えて荷物をまとめる「それでいい」/重松清
恋人に手紙で自分の過去を告白する「パリの君へ」/高橋三千綱
レストランのネズミの悲哀「悪夢――或は「閉鎖されたレストランの話」」/西村賢太
渋谷の女子高生の日常を会話と古文体で綴る「関寺小町」/橋本治
フリーターのおじさんにオカリナを作ってもらう「繭の遊戯」/蜂飼耳
29歳のOL4人が開運を目指す「あたしたち、いちばん偉い幽霊捕るわよ」/古川日出男
合宿所の管理人さんの元を度々訪れる「樫の木の向こう側」/堀江敏幸
言葉の解凍を仕事とする「曇ったレンズの磨き方」/吉田篤弘
カバーデザイン:國枝達也(角川書店装丁室)

有名作家30人を集めたショートショート集。
なぜか女性は小池昌代1人だけ。でもなかなかいいラインナップです。
『ひと粒の宇宙』というタイトルだから宇宙がテーマなのかと思ったけれど
特に統一性はなかったです。

発想として一番面白かったのは
「あたしたち、いちばん偉い幽霊捕るわよ」
幽霊が怪しい開運ブレスレット並の効力を持つ世界。
| comments(0) | trackbacks(0) | 13:53 | category: その他オムニバス |
# 東と西1
評価:
いしい しんじ,西 加奈子,森 絵都
小学館

Tの言葉以外は風の音にしか聞こえないオレが
体が半分になっても土方の仕事を続ける「T」/いしいしんじ
定職には着かず実家暮らしの幼なじみの女子3人が
ちょっとお出かけしたり旅行したり「猿に会う」/西加奈子
一万五十年の寿命を全うして極楽に向かうべく川を流れたQが
発電刑務所にたどり着く「極楽」/栗田有起
デザイン事務所の雑用仲間の後輩から誘われて
土日だけインクを作る「赤、青、王子」/池田進吾
酒問屋の若旦那である進兵衛が女郎の清鶴のところで
大晦日の紙入れをなくし2人がすれ違う「すみだ川」/藤谷治
左右対称の呪縛から逃れるべく女優となり
非左右対称の芸名で活動する女の独白「東の果つるところ」/森絵都
装丁・装画・編集:池田進吾(67)

現代純文学の書き下ろしアンソロジー。池田進吾さんが試みた企画のようです。
「東の果つるところ」が一番好きです。こういう文字へのこだわりに魅かれる。
反発するうちはまだ捕らわれているという大叔母の台詞にはっとしました。
あとは「すみだ川」のかみ合わなさがじれったくも面白い。
自分はやっぱりわかりやすい話が好きなんだなぁ。
「赤、青、王子」を読んで堀江さんを思い出したのは王子だからか?
| comments(0) | trackbacks(0) | 12:24 | category: その他オムニバス |
# きみが見つける物語 休日編
イタリア料理店にやってきた新しいバイトは
地味で無口だけど手際のいい女の子だった。
店長がいないときに「仕分け」を仕切ってからは
その手腕の凄さに皆が驚いた。
その夜彼女を家まで送った僕は
見返りとして彼女を数学のデートに誘うのだった。
「ローマ風の休日」ほか全5編。
カバーイラスト:宮尾和孝
カバーデザイン:國枝達也(角川書店装丁室)

ここまで全部の作家がツボなアンソロジーはなかなかないかも。
「シャルロットだけはぼくのもの」は推理小説というかなんというか。
ケーキが食べたくなることは間違いないです笑
「秋の牢獄」は再読だけどやっぱり好き。
「夏の出口」の周りの勢いに乗れない違和感は共感できます。
| comments(0) | trackbacks(0) | 23:01 | category: その他オムニバス |
# マイ・ベスト・ミステリー〈3〉
大東亜戦争中に難破船から船長1人のみが救助された。
船長は最後まで一緒に生き延びた船員が死んだ後
飢えに耐え切れずその肉を喰らったと言う。
果たして船長は食肉目的で彼を殺したのではないだろうか。
他の船員はどうだったのだろうか。
船長のみが証言者の今となってはわからない。
武田泰淳「ひかりごけ」ほか全7章14話。
写真:釜谷洋史 デザイン:永井翔

ただのミステリー集ではなく
選者の自作と推薦作、それに関するエッセイと盛りだくさんです。
篠田節子さんとか馳星周さんとか自作は推薦作のオマージュも。

恩田陸「オデュッセイア」のSFっぽい感じが好き。キノみたいな。
山田風太郎「まぼろしの恋妻」は他のノートの物語も読んでみたい。
| comments(0) | trackbacks(0) | 12:06 | category: その他オムニバス |
# いじめの時間
評価:
江国 香織,角田 光代,稲葉 真弓,野中 柊,湯本 香樹実,大岡 玲,柳 美里
新潮社
あいつから噂のケットウジョウが届いたんだ。
俺は柔道部のはしくれだから巴投げで投げ飛ばしてやった。
そうしたら稽古をつけてくれって頼まれてさ。
最後の標的である藤岡に備えて。
負けるとわかっていても自分の意志で始めたから
何があっても納得できると言って。
湯本香樹実「リターン・マッチ」ほか全7編。
カバー装画:吉田尚令 デザイン:新潮社装丁室

子どもの残酷なヒエラルキー。
コミュニティが限定されてるから
深刻になってしまうのだろうなぁ。
江国香織「緑の猫」の歯車がずれていく感じと
角田光代「空のクロール」のどこか客観的な視点がいいと思う。
| comments(0) | trackbacks(0) | 22:22 | category: その他オムニバス |
# COLORS
評価:
藤田 宜永,宮下 奈都,松樹 剛史,豊島 ミホ,池永 陽,永井 するみ,宮本 昌孝,水森 サトリ,関口 尚,朝倉 かすみ
ホーム社
井戸をのぞきこんではいけなかったのに、
私はすっかり矢田さんを待ちわびている。
重力の違う彼は決して私の家でご飯を食べようとしない。
それでも矢田さんを待つ以外私は望んでいなかった。
宮下奈都「空の青さを」ほか全11編。
装丁:坂川栄治+田中久子(坂川事務所)

専務の妻と不倫関係になる「黄色い冬」
矢田さんを井戸で待つ蛙となった「空の青さを」
家族が事故で死に叔父夫婦に育てられた「銀の匙キラキラ」
辺りが好きです。報われないけれど本人は少し幸せ、というくらいの。

本筋とは全然関係ないけれど「ふかみどりどり」で
おでんくんはふんどしだがノーパンのプーさんよりマシだという件に吹いた。
| comments(0) | trackbacks(0) | 01:09 | category: その他オムニバス |
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