ほんのひとこと

元・本屋でバイトする学生による
日々の読書記録です。
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# カルテット!
評価:
鬼塚 忠
河出書房新社

素行が悪くて補導されてしまうような姉美咲、
会社をリストラされ再就職先を探す父直樹、
息子の音楽の才能を花開かせたい母ひろみ、
離婚寸前のぎすぎすした家庭を変えるために開は
おばあちゃんの誕生日に家族で演奏会を開くことを提案する。
高校のオーケストラ部で出会ったチェロの母とピアノの父、
それに小さなころ美咲が習っていたフルートと
開のバイオリンという変則カルテットだ。
父以外は渋々で気持ちもまとまらないまま演奏会に望み大失敗。
しかし開が近くのレストラン<かのん>でのステージを依頼され、
リベンジに張り切る美咲と父でたびたびトリオをすることとなった。
開のバイオリン技術と美咲のトークが評判となり
直樹の大学時代の同級生から開を有名オーケストラにと誘いが来た。
さらに永江カルテットのクリスマスコンサートも決まり
練習にも気合が入る開。
しかしオーケストラのコンサートと永江カルテットの演奏会が
ダブルブッキングしてしまう。
バイオリンの千尋先生にも相談し、オーケストラの方を優先することにするが。
装丁:斉藤可菜 装画:スカイエマ

音楽を通したホームドラマです。
正直お約束通りに話が進むので筋はだいたい読めてしまいますが
アットホームな感じがいいと思います。
ちょっと教育ママ的な感じがするけれどひろみが一番現実的かなぁ。
ここまでご都合主義を貫くなら就職先も決まっちゃえばいいのに。
| comments(0) | trackbacks(0) | 12:06 | category: ア行(その他) |
# クォンタム・ファミリーズ
葦船往人の元に生まれていない娘からのメールが届き始めた。
妻の友梨香とふたりだけで考えた名前を名乗るメールは
もしかしたら自分の妄想なのかもしれない。
それでも往人はメールのやりとりを続け、
ついにはメールの指示通りにアメリカへと渡る。

風子の世界ではネットワークの複雑化によって生まれた
並行世界の存在が世界的に認められた。
並行世界の研究所に勤める風子は研究の途中で
27年8か月前の父親・葦船往人を見つけてメールを送ってしまう。
そしてさらに別の並行世界からやってきた弟の大島理樹まで関与し
葦船往人を並行世界の葦船往人と交換してしまう。
Cover Photo:(C)Paul Taylor/Getty Images
Design: Shinchosha Book Design Division

ネット上の現実とは異なる情報が実は並行世界の現実だったとしたら。
パラレルワールドを行き来するひとつの家族の話です。
違う世界の同じ人は果たして同じ人と言えるのか。
そしてそれぞれの世界からやってきた家族は家族たりえるのか。
量子論の話が難解ですがそのせいか設定に説得力を感じてしまう。
つまるところ友梨香は何をしたかったのかがぴんと来ませんでした。
| comments(0) | trackbacks(0) | 00:45 | category: ア行(その他) |
# いつか記憶からこぼれおちるとしても
満員電車の中で私の腰を撫でていった40代くらいのきれいな女性が気になり
とうとう彼女の家でお茶をごちそうすることとなってしまった
「指」
親友だったエミがどんどん潔癖症になり思考があちこちに飛び
しまいには学校に来なくなってしまった
「緑の猫」
ママと一緒にお買い物に行くのが日課のあたしは
友達の紹介で吉田くんと会うようになる
「テイスト オブ パラダイス」
太っている私はいつか自殺することを考えながら
今日も毒の飴をあげるべき人を記録し続ける
「飴玉」
具体的に決めないと成人は約束だとみなさない、
叔母に電話してみたけれどやっぱりそうだった
「雨、きゅうり、緑茶」
ラーメン屋で出会った美代に興味を持ち何度か寝たが
彼女にとって俺はどうでもいいおじさんだった
「櫛とサインペン」
装画・本文イラスト:柳生まち子
装丁:坂川事務所

女子高に通う少女たちの危うい短編集。
「緑の猫」だけ何かで読んだなあ、いじめ系のアンソロジーか。
一番印象に残るのは「指」。
単身赴任中の父親がたまに帰ってくると気まずくて
電車で知り合っただけのおばさんを訪ねてしまう
大胆さと不安定さにひかれます。
| comments(0) | trackbacks(0) | 00:11 | category: ア行(その他) |
# 生きるコント2
算数が苦手な男の子の家庭教師で
『大泥棒ホッツェンプロッツ』の読み聞かせをする。
来る仕事は拒めなかったが大きな舞台を任されて転機が訪れる。
トヨタのリクルーターに「ディーラーのコンビニ化」企画を出す。
気持ちを整理するために会社をやめるドキュメンタリーを撮る。
自分の気持ちに正直になれと行者に勧められる。
テレビの楽屋挨拶のタイミングがわからずマイクテストで挨拶をきめる。
気になっていた先輩から本物の養老の滝に誘われる。
ファーストフード店でトイレを借りるべく待ち合わせの小芝居を打つ。
故・緒形拳さんとのCMの仕事を思い出し偲ぶ。
年末年始に1週間徹底的に大掃除をして精神を回復する。
台湾旅行で食事の写真を撮るために研究ごっこをする。
マルチな活躍を見せる大宮エリーさんのエッセイ第2弾。
装画:青木欣二 装丁:大久保明子

エリーさんにとっては日常なんだろうけれど
読者から見れば非日常的な面白エピソードばかり。
初対面の人からもすぐに気に入られるし
何か引き寄せる力を持っている人なのだろうなあ。
「大掃除先生」を読んだ直後に読書を中断して
自分の部屋を掃除しました。斉藤和義は流さなかったけれどすっきり!
| comments(0) | trackbacks(0) | 19:12 | category: ア行(その他) |
# 生きるコント
国家試験をさぼってリオのカーニバルに参加する「ビキニ」
取材のたびに健康に、おしゃれに、物知りになる「やります」
いじめられては母娘で言い返す決め台詞を考える「弁慶」
男らしくも女らしくもなく、オカマらしい「性別不明」
更年期障害の母を怒れず自分で自分をひっぱたく「自分ビンタ」
おかん孝行のためにイタリア旅行十日間「母の日」
やけに人の家族に紹介される「どこでも家族」
早起き、せっかち、果てはピエール瀧をおじいさん呼ばわりする「おじいさん女」
自らの遅刻癖でエリーを時間に厳しくさせた「名マネージャー」
マネージャーがTバックを履いていたなんて「知りたくなかった」
大事な打ち合わせの前には肉!「ステーキ四時」
装画:青木欣二 装丁:大久保明子

タイトル通り毎日の生活がまさにコントのような
大宮エリーさんのエッセイ集です。
きっと面白いことを引き寄せる力があるのだろうなあ。
「突拍子もない仕事を敢えて選び、ぶつかっていくのである。
 その痛々しい姿を、面白がってくれればいい。」
とあるように、何にでも挑戦する姿勢が
普通の人には降ってこないような事件を呼び寄せているのだと思います。
大阪の人がみんなこんな面白い生活を送っているとは思ってくれるな。
おかんが何とも言えずかわいいんだよなあ。
| comments(0) | trackbacks(0) | 16:32 | category: ア行(その他) |
# 美味礼讃
辻静雄は明子と結婚して新聞社を辞め
舅である辻徳一の料理学校を継ぐことにした。
静雄は調理師法の施行に即して学校の対象を主婦から調理師の卵にし
経理の山岡亨と共に講師の料理人探しから始めた。
しかし日本の料理人は自分の技術を他人に教えることはなく、
また日本で一流といわれているフランス料理のコックは
本で読むような本格的な料理をひとつも作れなかった。
本物のフランス料理を知るために静雄は明子と共に
アメリカの2人のガストロノームとフランスのマダム・ポワンを訪ね
3ヶ月間苦しみながらフランス料理を食べ続けた。
フランスから帰った静雄はフランス料理の基本を教えるために教壇に立ち
また自らの経験と技術・知識を詰め込んだ教科書を作った。
さらに三ッ星レストランのポール・ボキューズの紹介で
フランス人の講師を招くことに成功し、また生徒の留学も始めた。
フランス料理以外も、日本料理は灘万の元料理長を招き、
中国料理も生徒を現地で修業させて本格的な技術を導入し
本物の料理の発信地へとなっていく。
しかし一校だけ成功する辻調理師学校を他校はよく思わず
山の手調理師学院の金丸を始めとした調理師学校協会が邪魔をする。
これに怒った静雄はフランス料理の有名シェフを3名招いての研修会を開催、
フランス料理の日本普及に貢献したとして
フランス政府から名誉フランス最優秀料理人賞を受け取る。
辻調理師学校は知名度を上げ、
静雄が講師の腕を衰えさせないために開催するディナーや
一流の料理を披露するテレビ番組『料理天国』の出演なども始めた。
しかし味の勉強のために数多くの料理を食べ続けた静雄の肝臓は
命に関わるほど弱ってしまっていた。
装丁:坂田政則

大阪あべの辻調理師専門学校校長の辻静雄をモデルとした小説です。
主婦が学ぶ料理学校から最高の料理人を輩出する調理学校に成長するまでの
試行錯誤と苦難、周囲からの協力と邪魔が描かれています。
そして濃厚なフランス料理の数々!お腹いっぱいです。

無名の調理学校が転進を遂げたのは静雄の人柄に負うところが大きかったのだろうなあ。
何のつてもなくてもアメリカとフランスの料理の権威に手紙を出すところから始まり、
熱心に料理を食べ続けたことでフランス料理の名だたるシェフと人脈が出来てしまう。

静雄が学校を運営するに当たっての決断がまた潔いです。
いい学校とは何かを考え設備を新しくするのではなく家庭との連絡を綿密にする。
本物の材料を使うために授業料をほぼ倍額にする。
自分の目標のためには何が大切なのかという軸がぶれていないからこそ
思い切ったこともできるしそれが成功する。
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:03 | category: ア行(その他) |
# 左岸
評価:
江國 香織
集英社

友達が少ない茉莉はいつもお兄ちゃんの惣一郎と
隣に住む九と一緒に遊んでいた。
中学生の惣一郎が首を吊って自殺するまでは。
惣一郎が死んでからも茉莉は惣一郎の声を聞くことが出来た。
相変わらず友達が出来ないまま、惣一郎に教えられたとおりチョウゼンとして
踊ることだけを楽しみに暮らす日々。
そして17歳になった茉莉はディスコで知り合った隆彦と東京へ駆け落ち、
喧嘩別れした後は同じアパートの山辺の部屋に転がり込み
彼を連れて福岡の実家に帰るが居心地が悪く別れる。
20歳になった茉莉は大学教授の父・新の紹介でミチルに家庭教師をしてもらい
大学を目指して勉強を始めるが、
家業のガソリンスタンドで働く始と恋をして寿退学する。
娘のさきも生まれて幸せに暮らしていたのに始と彼の両親が事故死。
他の男の元へ出て行った母親・喜代の残したガーデンで出会った
画家の志津夫にモデルを頼まれてパリへ行くことにした。
パリから戻った茉莉は志津夫の紹介で東京のバーで働き始めるも、
喜代の死後生活が荒み始めた新を心配して再び実家へ。
小さな店で働きながらソムリエ試験のために勉強し、
ついに自分の店「ポスト・デセンス」の開店にこぎつけた。
中学を卒業しようとしていたさきは美術の勉強のためフランスに飛び
茉莉は子供たちに解放していた自宅に遊びに来ていた
郁の父親である智幸と再び恋に落ちる。
装丁:新妻久典 写真:澁谷征司

とにかく長いです!茉莉の半生記なのだけれど、本当に長い。
あらすじもつめこみすぎて全然まとまっていません。
この作品と対になる『右岸』を読んでから結構経つので
九に何が起こっていたのかあまり詳しくは思い出せないのですが(・・・)
もっと大きく影響しあってもよかったのではないかなあ。
これくらい薄いのに強い縁が書きたかったのならばそれはそれでいいのですが
読者としてここが呼応しているのか!という楽しみ方はしづらいです。

惣一郎がどうして自殺したのかが本当にわからない。
全体を通して見れば茉莉を見守る役割に専念させるため?
でも動機は何かしら設定していて欲しい。
| comments(0) | trackbacks(0) | 00:40 | category: ア行(その他) |
# イニシエーション・ラブ
大学四年の僕(たっくん)が歯科衛生士の彼女(マユ)に
出会ったのは代打出場の合コンの関。
やがてふたりはつき合うようになり、
夏休み、クリスマス、学生時代最後の年をともに過ごした。
マユのために東京の大企業を蹴って
地元静岡の会社に就職したたっくん。
ところがいきなり東京勤務を命じられてしまう。
週末だけの長距離恋愛になってしまい、
同期の石丸さんからアプローチを受けた僕は
だんだんマユとは疎遠になっていく。
写真:村尾昌美 装丁:スタジオ・ギブ(川島進)

ラストで大どんでん返しが!という触れ込みだったのですが
用心して挑んだせいか展開が読めてしまったのが残念。
そこに触れないように書くのはなかなか難しく
上のあらすじはカバーのものに加筆してみました。
検証サイトもあるようなのでえっ?と思った方は
読んでみると面白いかも。
| comments(0) | trackbacks(0) | 15:53 | category: ア行(その他) |
# 問いつめられたパパとママの本
赤チャンハドコカラクルノ?空ハナゼ青イノ?
ナゼオ月サマハボクガ歩クト追ッカケテクルノ?
四次元ノ世界ッテナアニ?
ママハイツモオ化粧シテルノニドウシテ肌ガアレテルノ?
当たり前のことだと思っているけれど
いざ聞かれるとどうしてなのか答えられない、
そんな子供からの想定質問集に
伊丹さんがわかりやすくユーモアたっぷりに答えてくれました。
カバー装画:伊丹十三

ほぼ日の伊丹十三特集(http://www.1101.com/itami/index.html)で
伊丹さんのことを知ったのがきっかけで読んでみました。
そして本当にこの人は万能型の人だと実感。
文章はもちろん物理学の知識とか画才だとか
この1冊だけでもその多才ぶりが詰まっています。
普段疑問に思わないようなことでも原理を知らないことって本当に多くて。

風が吹いて涼しいと感じるのは
皮膚に接している飽和状態に近い空気が飛ばされて
乾燥した空気に入れ替わることで
皮膚からの水分蒸発が盛んになって気化熱を奪われるから。
物質が濡れるためには
イオンからできているか、分子の中にプラス・マイナスの電気の片寄りのある
極性結合を持っているか、外から電力が近づくと電気の片寄りを起こすものか、
のうちの一つに属さなければならない。
物が燃えるためには
燃料が存在すること、燃料が発火点以上の温度に達すること、酸素の存在
が必要不可欠となっている。

しかしこれを子供にどう説明するかというのはだいぶ難しいんではないか。
たとえうまく説明しきれなくても好奇心の芽を摘むことはしたくない。
そこからが問いつめられたパパとママの腕の見せ所なのかも。
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:12 | category: ア行(その他) |
# 天地明察
評価:
冲方 丁
角川書店(角川グループパブリッシング)

碁打ち衆として徳川家に仕える春海は
囲碁だけではなく神学、朱子学、算術、測地、暦術と
幅広い技能を持っており、とりわけ算術への興味が強かった。
しかし近所の算術塾に現れる「解答さん」と呼ばれる男に手も足も出ず
悔しい思いをしたまま全国各地での北極星の観測の任務に出発した。
隠居をしていてもおかしくない歳の2人の観測隊長に連れられて
星の素晴らしさに触れた春海は
江戸に戻ってから授時暦への改暦の役目を授かる。
保守的な朝廷に対して改暦を認めさせるには
町民たちに授時暦の正確さを知らしめるしかない。
そう思って現在の暦と授時暦での日食予想対決を試みるが
なんと最後の最後で予想を外してしまう。
落ち込みきっていた春海だったが、「解答さん」の導きによって
中国で作られた授時暦が日本ではそのまま通用しないことに気づく。
日本独自の暦作りを目指す春海は
まず星図と地図を結びつけた「天文分野之図」を作り
いよいよ改暦に着手する。
暦作りに生涯を掛けた変わり者の話。
装丁:高柳雅人

2010本屋大賞ノミネート作です。これは大作!
囲碁の仕事に飽きを感じる春海が
先達からの教えで星の面白さと奥深さに目覚め
試行錯誤の末に日本独自の暦を生み出す一代記。
今では当たり前のように知らされている蝕を
江戸時代ではどのようにして計算していたのか。
暦が人々に対してどれほどの影響をもたらすのか。
珍しいテーマなだけにエンターテイメント性だけではなく
雑学的な面白さも多くいろいろな楽しみ方があると思います。
キャラクターもしっかりしていて飽きません。
だんだんしたたかになっていく春海の変化にも注目です。

最初はえんが関さんなのかと思ってしまった。
| comments(0) | trackbacks(0) | 22:07 | category: ア行(その他) |
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